パーパス基軸の経営提唱 ニューノーマル下の戦略とは
紀伊国屋書店大手町ビル店
企業事例にネスレやユニクロ
登場する人物の名前だけ眺めると、懐古趣味や日本礼賛論を想起してしまうが、それでは本書をとらえ損なう。第2部になると「パーパス経営というコンセプトは、欧米においても主流になりつつある」として、ネスレやユニリーバ、セールスフォース・ドットコムといった最先端企業の事例を見ていく。ユニクロを展開するファーストリテイリング、堀場製作所など、7つの日本企業の事例も取り上げる。「志す」「実践する」「成果を出す」「発信する」という4つの切り口から海外企業と日本企業の共通点と相違点を論じるくだりなどは、経営に携わる多くの人にとって示唆に富む視点の宝庫となるだろう。
第3部ではサステナビリティ、デジタル、あえて複数形で呼ぶグローバルズという3つのメガトレンドの中で、志本経営をいかに実践していくかを論じる。第4部では日本企業が志を取り戻す道を探る。「新刊の反応が鈍い中、かなり健闘した一冊」と同店でビジネス書を担当する西山崇之さんは話す。
19年刊の『世界標準の経営理論』が上位に
それでは、先週のベスト5を見ていこう。
1位は、エンジェル投資の実際を投資家自身が語った本。前回連休明けに訪れたときに1位だった会社法の実務専門書が今回も2位に入った。3位は「世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊」の読書ガイド。4位は世界で標準となっている約30の経営理論を可能なかぎり網羅・体系的にわかりやすく紹介した本。2019年末の刊行で、ロングセラーに育ってきた。5位の未来予測本は前回の2位で、20年末の刊行から約半年続く息の長い売れ筋だ。今回紹介した経営書は11位だった。
(水柿武志)