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接客業から「インサイドセールス」への転職チャンスが増加

昨今、マーケティング・営業のあり方に変化を与えたものの一つとして、セールスフォース・ドットコムで提唱・活用されてきた「The Model(ザ・モデル)」が挙げられます。

これは、マーケティング・営業のプロセスを切り分け、各部門が連携して顧客満足の向上を目指すもの。サブスクリプションやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)などのビジネスモデルが普及していく中で認知されるようになりました。

顧客が商品・サービスをより効果的に活用して目的を達成できるように支援する「カスタマーサクセス」という職種も、この概念から生まれ、求人が増えています。

営業プロセスが細分化されたことに伴い、「カスタマーサクセス」と同様に採用が活発化しているのが、「インサイドセールス」です。見込み客に対して電話や電子メール、ダイレクトメール(DM)などでコミュニケーションを取り、関係を構築。顧客の関心が顕在化した段階でフィールドセールスにバトンを渡すポジションです。

インサイドセールスがこの役割を担うことで、営業(フィールドセールス)部隊は受注確度が高い顧客との商談に注力することができ、営業効率が高まるというわけです。

多くの企業がインサイドセールスの採用を増やしていますが、法人営業経験者からの応募はなかなか集まらない実情があります。そこで、販売やサービスなどの接客業経験者にも門戸が開かれています。

コロナ禍により、外食・宿泊・観光・アパレル販売などの業界で働く皆さんは苦境に立たされました。仕事を失った人、今後のキャリアに不安を抱いた人も多いことでしょう。

以前は、販売・サービス業から「法人営業」への転職はハードルが高かったのですが、最近は「インサイドセールス」のポジションで迎えられる事例が増えています。お客様に1対1で寄り添い、ニーズに応えてきた経験を生かすことができます。

インサイドセールスを経て、フィールドセールスやカスタマーサクセスへキャリアを展開できる可能性もあるので、このキャリアチェンジのチャンスにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、衰退・成熟産業の営業・販売・サービス従事者が、SaaSなどの成長分野に移り、営業として活躍できるように支援するサービスも生まれています。例えば、WorX(ワークス、東京・渋谷)ではセールススキルのトレーニング「オンラインセールスブートキャンプ」を提供。10月から正式にサービスを開始する予定です。インサイドセールスの基礎から実践までを約3~6カ月で身に付けてもらい、求人企業とのマッチング、インターンを経ての就職までサポートします。

インサイドセールスは「顧客訪問」がないので、時間や場所の制約なくできる仕事でもあります。育児中の女性や在宅介護をしている人にもマッチしやすいでしょう。コミュニケーション力を磨き込んできたシニア層の皆さんが「セカンドキャリア」として選択するにも適しているように思います。

このように、営業の役割・スタイルは多様化しています。従来の「営業」のイメージにとらわれず、自分の強みや志向を生かせる営業ポジションを探してみてはいかがでしょうか。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。

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