コロナ禍で学びも様変わり ユーチューブや副業を活用
マネックスグループ社長 松本大氏(5)

松本大 マネックスグループ社長
新型コロナウイルス禍で経済環境や働き方が激変しました。自身のキャリアを改めて考えたというビジネスパーソンも多いことでしょう。ウィズコロナ時代のキャリアの切り開き方について、マネックスグループ社長の松本大氏に語ってもらいました。
あなたが他の人に比べて得意なこと、優れている点はどんなことでしょうか。私は「良いキャリア」とはそうした強みを伸ばしていく過程で、おのずと築かれていくものだと思います。強みを伸ばすにはより多くの経験を積むことが大切です。しかし、その「経験の積み方」がコロナ禍をきっかけに、変わってきていると感じています。
外部の仕事を疑似体験
経験を積むには、時間をかけて自分が直接体験する以外に、間接的な体験も重要です。例えば、できる上司や同僚の働きぶりを間近で見て、「技を盗む」といったことです。これまでは会社に行けば自然とそれができました。でも、リモート環境では間近に見ること自体が難しい。一方で、上司や先輩ではなく、動画共有サイト「ユーチューブ」から学ぶとか、家にいながら他社の人と交流したり議論したりすることが以前に比べてはるかに簡単にできるようになりました。そういう新たな手法で人間関係を広げたり、自社内では経験できないような外の仕事を疑似体験できたりすれば、経験値はぐっと上がるでしょう。そうやって自ら動き、効率的に経験を積んでいける人が、これからはキャリアを伸ばしていけると思います。
採用する側の立場からいうと、最近は「ぜひ、この人を採りたい」と思うことがものすごく減りました。理由は単純で、いろいろな会議や会合がなくなり、物理的に人と出会う機会が減ったからです。もちろん会議や会合はビデオ会議サービス「Zoom(ズーム)」などのオンラインで行われるようになりましたが、「じゃあ、この後、飲みにいきましょうか」という流れにはなりません。以前はそういうカジュアルな場で親しくなり、相手の人となりが見えてきて、いいなと思った人には「うちに来ませんか」と声をかけることができました。でも今はそれができないので、ヘッドハンターにとにかくレジュメをたくさん送ってもらい、画面上で候補者を探すしかなくなってしまいました。