変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

やりたいことがないと悩むくらいなら、目の前の山をまずは登ってみる。選択肢の前で迷ったら、失敗することを前提に、とりあえず一歩を踏み出してみる。それを愚直に続けていくうちに、おのずと自分の得意不得意が分かり、道も開けてくるのではないでしょうか。

目の前の仕事を好きになった方が早道

今の会社で働き続けるか、転職や独立、起業をするかを考えたとき、お金とやりがいのバランスで悩む人も多いでしょう。やりがいはイマイチだけど収入的には満足な仕事と、やりがいはあるけれど収入が低いとか不安定な仕事があったとき、あなたはどちらを選びますか。私だったら後者を選びます。やりがいがあるとか興味を持てる仕事をした方が、経験を積みやすくなるからです。学ぶ意欲が高いので、成長スピードも早まります。そうするとキャリアもお金も後からついてきます。

今の職場に不満がある人は他の会社に行けば、もっとやりがいがあって好きになれる仕事に出合えるはずと考えがちです。でも、私は好きになれる仕事を探すより、目の前の仕事を好きになった方が早道だと思います。

マーケットでは株も債券も割安なものは買われ、割高なものは売られるという裁定が働いているので、リスク調整後リターンは基本的にどれも同じと考えます。仕事も同じで、やりがいとお金と忙しさは、それぞれの分野ごとにすでに裁定済みで釣り合っているのだと思います。つまり、「やりがいがあって給料も高いけれど、ものすごく忙しい」とか、逆に「やりがいはイマイチで給料も安いけど、自由な時間はたっぷりある」とか。だとすると、今の職場は「○○が嫌だから」とよそへ行っても結局、別の不満が出てきてしまうでしょう。だったら新しい仕事を探すより、今の職場が良くなるように変えていけばいいのではないでしょうか。

「隣の芝生は青く見える」と言いますが、青い芝生を探しに行くより、自分のフィールドに青い芝生を自分で植える努力をすることを私は勧めます。

松本大
1963年埼玉県生まれ。87年東大法卒、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券を経てゴールドマン・サックス証券でゼネラル・パートナーに就任。99年マネックス設立。2004年マネックス・ビーンズ・ホールディングス(現マネックスグループ)社長、13年6月から会長兼社長。08年から13年まで東京証券取引所の社外取締役、現在は米マスターカードの社外取締役を務める。

(ライター 石臥薫子)

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