声がつなぐメディア 次のコミュニケーションの行方は
『ボイステック革命』
著者はこう指摘します。
「テキストや画像、動画の時代、スマホの時代がしばらく続いたが、なぜ今、ボイステック革命がこのタイミングでやってきたのか。これはもちろん、突然起こったことではない。小さくささやかな流れが何年も前から続いており、そこに少しずつ新たな流れが合流して大きくなり、大河になる直前にあるのが今だ。長い助走期間中に、テクノロジーの進化、コンテンツの充実、デバイスの登場、人びとの「聞く」習慣の変化などが起こったために、広大なブルーオーシャンがようやく目の前に開けてきたのだ」(45~46ページ)。
情報には大きく分けて2種類ある。テキストや画像、動画などの「手で作って目から入れる情報」と、音声という「口で作って耳から入れる情報」だ。前者については、ネット上にあるものをクローリング(機械的に読み取って収集)するグーグルが一気に押さえた。しかし後者の音声は、まだ誰も押さえていない。一体、この分野の覇者は誰になるのだろうか?
(第1章 なぜGAFAはボイステックに注目するのか 45ページ)
(第1章 なぜGAFAはボイステックに注目するのか 45ページ)
「ながら視聴」ができる音声の強み
音声をコミュニケーションツールとすると便利なことが多々あります。ラジオを思い浮かべてもらうと、わかりやすいのですが、○○をしながら、別の作業をしようとする時には便利な媒体になります。この「ながら聴き」は実に便利で、情報の受け手には負担がないどころか、発信者にとっても、伝えたいことをそのまま伝えることができる。音声なので多量の情報を伝えることには不得手ですが(文字情報のように検索した情報を順に紹介するわけにはいきません)、実に効果的に意思疎通をやりとりできるメリットに著者は注目します。
音声の最大の特徴は「ながら」ができることだ。朝の身支度をしながら、朝食を食べながら、仕事をしながら……。よく問題視される「ながらスマホ」も、画面を見るのではなく音声だけなら問題ない。移動しながら、家事をしながら、運動しながら。誰かと会話するのでもなければ、寝ている時以外はいつでも両立できる。ワイヤレスイヤホンの普及によって、さらにそれが簡単になった。
(第1章 なぜGAFAはボイステックに注目するのか 81ページ)
(第1章 なぜGAFAはボイステックに注目するのか 81ページ)