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人事も驚いた異業種人材の活躍度とは?

では、業界経験や職種経験は、転職後に活躍できるかどうかにどれくらい影響があるのでしょうか。少し古いデータですが、まずこの表をご覧ください。

これは40歳から55歳のミドル世代のホワイトカラーを採用したことがある企業の人事責任者へのアンケート結果です(人材サービス産業協議会調べ)。企業が中途採用した人材の入社後の活躍状況と出身業種・職種を尋ねた結果、業界経験の有無や職種経験の有無は、入社後の活躍ぶりにほとんど関係がないことがわかったのです。

ちなみに、異業種・異職種出身のミドル世代人材を採用した会社は、今後採用をしていく際に重視したい項目として「専門性以外のベーシックな職務遂行能力」を挙げています。人材採用の際に、一度、専門知識やスキルなどへのこだわりを横に置いて、成功体験を味わうと、中高年世代の人材であっても、未経験者の中にあるポテンシャルを活用したいという考え方になるようです。

35歳を超えてから異業種に転職することは、受け入れ先さえ見つかれば、さほど無謀ではないという様子が浮かび上がってきました。

異業種転職に成功するために抑えておきたいポイント

異業種・異職種への転職は、たとえ35歳を過ぎていても遅すぎることはありません。しかし、それを実現するのが簡単だというわけではありません。

異業種への転職の難しさは、業界によって風土や価値観、仕事の常識がまったく異なるところにあります。専門用語も違えば、仕事の進め方やスピード感、コミュニケーションをとる方法などすべてが変わるため、適応していくためには、過去の成功経験をすべて捨てて、ゼロから学んでいく覚悟は絶対に必要です。逆に言えば、その緊張感さえ持っておけば、慣れたつもりで同業界に転職するよりは、入社後に成功する確率は上がるかもしれません。

第1関門は「面接にたどり着けるか」です。一般的には「同業界・同職種の人材のほうが即戦力になるはず」と考えている人事が圧倒的な多数派です。そう考えている相手の書類選考を突破するには、それ相応の志望動機と自己PRをする必要があります。

まったく違う畑出身の自分がなぜこの業界、この企業を選んだのか。そして、この職種でどんなことがやりたいのか。これらを論理的に明示する必要があります。

また、自分が積み上げてきた経験やスキルには、どういう汎用性や共通点があって、転職希望先の会社で生かせるのか。その結果、業績にどんな貢献ができるのか。こういった事柄を明確に説明できるように準備する必要があります。

実際に転職をした人の成功事例、そしてうまくいかなかった人の失敗事例を、いくつかご紹介したいと思います。

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