転職の求人、35歳で半減 複数の職場での掛け算は強み
「日経転職版」特別セミナーから

転職の求人は職場の柱となる35歳までに偏りやすい(写真はイメージ) =PIXTA
新型コロナウイルス感染拡大で一時的下がった転職のニーズが再び高まっている。転職サイト「日経転職版」は特別セミナー「ミドルの転職学 35歳からのキャリアプランを考える」を開催した。人材業界の最前線で活躍するルーセントドアーズ代表取締役の黒田真行氏に、ミドルの転職について話を聞いた。
――現在の「ミドルの転職」のマーケットはどうなっているのか、実情を教えてもらえますか。
最初の緊急事態宣言が発出された昨年の4、5月の2カ月間は、前年比で求人が半減するような状況でしたが、それを底に雇用環境は右肩上がりが続いています。中途採用全体のマーケットは、新型コロナウイルス感染拡大前の9割ほどになっています。ただ、かなり業種や職種による格差は大きく、旅行や飲食に関わる産業はまだまだ厳しい状態が続いています。
――転職希望者が過去最多になったという数字も出ていますが、コロナによる影響が要因でしょうか。
コロナのほかにも、たとえば、産業構造全体がデジタルトランスフォーメーション(DX)化しているということもあると思います。従来の重厚長大の産業からインターネットや人工知能(AI)などを使った新産業に主役が変わり、産業構造がゆっくりと大きく変わろうとしています。その中でここ数年、黒字企業でも早期退職を募るところが増えました。多くの人が「業界移動」をし始めている影響もあると思います。
――キャリア形成をする上で、20、30代の頑張り方と、40、50代の頑張り方は違うと思いますが、どんな視点を持って臨めばいいかについてのアドバイスはありますか。
キャリアを考えるときは、まず「何を戦略的な強みとしてやっていくか?」をぜひ考えてみてほしいです。私がよく受ける質問で「40代まで総合職でやってきたので、一貫性のあるキャリアとして説明できるものがない」というものがあります。ずっと総合職でこれといった専門性がないと思っている人は、逆に、複数のキャリアの掛け算で得られた自分なりの強みを語ればいいと思います。
たとえば、「人事ではこれを学び、営業ではこんなスキルを身につけて、経理でお金の流れをつかんだことで視野が広がり、経営全体を見る仕事ができます」など、ストーリーで自分の経歴を語れるようにすればいいと思います。そういうストーリーを組み立てることによって、さらに今後のストーリーをどう作っていけばいいかも、発想できるようになるのではないでしょうか。