転職の求人、35歳で半減 複数の職場での掛け算は強み
「日経転職版」特別セミナーから
転職に向く、向かない人の違い
――黒田さんは著書「転職に向いている人、転職してはいけない人」を出されていますが、「転職してはいけない人」とは具体的にどんな人でしょうか。
「転職してはいけない人」というのは少し大げさな表現で、「転職をおすすめしない状態」というほうが正確です。たとえば、自分が思い描いていたキャリアが社内で思うように築けずに、不満やストレスをため込んでしまって、あるとき、それが爆発してしまい、「転職する」というよりは「こんな会社、辞めてやる!」となるような、不満爆発型の転職です。
前の会社への不満を理由に転職してこられても、採用する企業側は採りづらくなりがちです。勢いで退職してしまってブランクができると、求職する側として立場が弱くなり、非常に劣勢な転職活動を強いられることになります。「何をやりたいのか?」「どんな充足感を得たいのか?」など、自分が本質的に望んでいることをしっかりと整理してから活動を始めたほうがいいと思います。
――逆に「転職に向いている人」はどんな人ですか。
「固定観念にしばられない思考ができる人」「自尊心が過去より未来にある人」などは、納得度の高い転職をしやすいと思います。固定観念や過去の成功体験にしばられることは、自分の可能性を狭めることだと思います。「私は前の会社でこんなことをやったんです」と、過去の自分にプライドの源泉を置く人は、採用する側からは「うちに入ってからは何をしてくれるの?」「どんなふうに会社に貢献してくれるの?」ということが見えづらいと思います。
企業側が重視しているのは経験を踏まえた上での将来です。そして、「他者に肯定的で自責思考の強い人」も、転職には向いています。「誰かのせいで」「会社のせいで」自分は不遇な目にあっていると考えるのではなく、何事においても自責思考が持てているか、面接の段階から採用する側も気にして見ているポイントだと思います。日ごろから、自分の思考をできるだけ他責にしない考え方をするということも非常に大事だと思います。
