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業務委託で働くメリットは、生産性、自由度、スキルアップ

Aさん・Bさんのように、フリーランスの立場でスペシャリストとして活躍している人たちは、どのようなメリットを感じているのでしょうか。よく聞く声としては「時間あたりの生産性が高まった」です。

企業の社員時代と同じような仕事をしていても、時給に換算すると報酬額が上がっています。複数の取引先を掛け持ちしてフルで働けば、社員時代より高年収を得られるということ。あるいは、社員時代の年収水準を維持しつつ、プライベートの時間がより多く確保できるということです。

また、「裁量権が大きく、自由度が高い」のも大きなメリット。業務委託の場合、目的とする成果さえ達成できれば、手法も進め方も自由。オフィスへの出社の必要性も低く、特にコロナ禍以降はテレワークで対応するケースが多いようです。実際、地方に移住したり、首都圏×地方の2拠点生活を始めたりしているフリーランスは少なくないと思われます。

なお、フリーランスのメリットといえば、「自由度」「ワークライフバランス」が注目されがちですが、「スキルアップ」をメリットと捉える人も多いのです。勤務先の企業・1社だけのケースだけでなく、さまざまな企業の多様なケースを経験し、学ぶことができる。それを自身のノウハウとして蓄積し、専門分野でのプロフェッショナリズムをより高めていける、というわけです。

「今は企業に勤務しているが、いずれはフリーランスになって業務委託スタイルで働きたい」と考える人は、どんな準備をしておけばいいのでしょうか。実際に活躍しているフリーランスのスペシャリストの人たちを見ていると、重要なのは次のポイントだと感じます。

・「実務」スキルを衰えさせない

企業に勤務していて管理職になると、メンバーのマネジメントしかしなくなるケースも多いかと思います。しかし、そうして「実務」から離れ、その期間が長くなると、「筋力」が衰えます。いざ、フリーランスになったとき、手足を動かせなくなってしまいます。

ですから、会社ではマネジメントが中心になったとしても、副業などで手足を動かし続けることをお勧めします。フリーランスには「走っている電車に、ポンと飛び乗ることができる」能力が求められるのです。

・最新情報をキャッチアップし続ける

専門分野に関わる法律・制度・手法・ツールなどは、日々更新され続けます。

企業に勤務していると、自社に関係があるもの、自社の業務で使うものは勉強しますが、それ以外の情報には無頓着になってしまうことも多いのではないでしょうか。

自身の専門分野の最新情報にアンテナを張って、常にキャッチアップし続ける姿勢も欠かせません。近年では、SNSなどで専門家のコミュニティに参加することも可能性ですので、そうした場も利用しながら知見のブラッシュアップを続けていきましょう。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「マンガでわかる 成功する転職」(池田書店)、「トップコンサルタントが教える 無敵の転職」(新星出版社)ほか、著書多数。

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