柔軟な組織はリモートワーク苦手? 明暗分ける違いは
20代から考える出世戦略(115)
リモートワークはむしろ育成と組織業績達成に向いている
リモートワークをしっかり進めるためには、2つの条件がそろっていることが必要だと書きました。
第1に、一人一人がやるべき業務が決まっていること。
第2に、業務の計画やスケジュール管理がはっきりしていること。
実はこれらは、マネジメントのあるべき姿そのものです。
一人一人のやるべき業務を明確に定めることで、自律的な努力が可能になります。そこで得られた知識や経験は、一人一人を成長させるきっかけになります。
自律的な業務を進める中で困難なことにであったとしても、計画がはっきりしていれば、いつ誰に何を確認すればよいかがわかります。求める助言もはっきりするでしょう。これらは、エンパワーメント(権限移譲)による部下育成と、それに伴う組織業績達成への行動を促すきっかけとなるのです。
もちろん単純にお仕着せの業務を与えるのではなく、一人一人の業務が組織全体にどのように貢献するのかをはっきりさせた方がよいでしょう。またどのように貢献するのか、何を役割とすべきかについて、部下自身にも考えさせることができればより効果的です。計画やスケジュールも一方的に定めるのではなく、対話の中で決めていければなおよい結果を生みます。
ビジネスタイプや職種によっては、リモートワークができない場合もあります。けれどもそのようなビジネスや職種でない場合には、あえて基本に立ち戻ってマネジメントすることをこころがけてみてはいかがでしょう。
そうすることで、リモートワークは飛躍的な成長のきっかけとなり、出世の道筋も開いてくれることになるのですから。
平康慶浩

セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。
