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諸外国のすべての企業の給与水準が増えているわけではない

さて、日本企業の給与水準が増えていない間に、諸外国の給与水準がどんどん上がって、日本は働きがいのないダメな国になったのでしょうか?

確かに日本の国内総生産(GDP)が停滞している間に、諸外国のGDPが成長し続け、そのような逆転が生じている事例は多数あります。

けれどもそれは一般論ではないのです。たとえば東南アジア企業の管理職給与が日本企業の管理職給与を上回った、というニュースが出たりしますが、あらゆる管理職層において、東南アジアと日本企業との間で逆転が生じているわけではないのです。

その秘密は、それらのニュースの根拠となっているデータを発信している元にあります。というのも、諸外国との給与水準比較データを示しているのは、グローバルに展開している人事コンサルティング企業だからです。これらの企業が発表する数値には、ある特徴があります。

たとえば私が経営しているセレクションアンドバリエーションでは、基本的に、日本国内で活躍する企業に向けた人事戦略・人事制度設計を支援しています。コンサルタントたちは、個々の企業における外部環境の変化や企業戦略などを踏まえつつ、その企業にとって最適な人事戦略・人事制度を設計します。

一方でグローバル展開をしている人事コンサルティング企業では、一つの企業に特化した制度設計を行っていません。それぞれの企業としての戦略・制度設計を考えつつも、業界や国家単位での最適人事も視野に入れて検討します。言い換えるなら、「グローバル先進企業間を転職する人たち向けの制度を整備」しようとしているのです。

そのため、これらのグローバル人事コンサルティング企業は、どうしても先進欧米企業の報酬水準を軸に話を進めることになります。

最近発表された記事で出ている、韓国やフィリピン、インドネシアなどの企業よりも日本企業の報酬水準が低い、というのは、あくまでもグローバルに展開している企業間での比較です。それぞれの国の中だけで活躍している企業では、決してそんな逆転は起きていません。

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