変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

一方で、頭角を現しだしたのは、むしろ一番低い評価を受けていた同僚だったり、入社後1年とたたずに退社した同僚だったりしました。

その後20年ほどを経て、今では成功というものには継続性はなく、また能力とか努力とかとはっきり連動するものではない、ということが見えてきた気がしています。

努力して成功したのに、増長して敵ばかりつくり、誰にも相手にされなくなった人がいました。

運よく成功したのに、2匹目のどじょうを狙い続けて破綻した人がいました。

苦しい状況を続けて、やがて人から助けを受けて一気に成功した人がいました。

そうしてみてきた中で、特にビジネスパーソンが成功から失敗へ、失敗から成功へ転ずるタイミングに共通点があるのかも、と思うようになりました。

成功体験と失敗体験が積み重なるタイミング

成功し続けられなかった人にはいくつかの共通項があります。

中でも、私が登壇している経営大学院で特に強調しているのは「視野狭窄(きょうさく)」です。

言葉通りにとらえると、目に見える範囲が減ってしまうことであり、もともとは目の疾患を表す言葉です。

成功し続けられなかった人の視野狭窄とは、目に見えている障害や課題が見えなくなってしまい、ある意味必然的に失敗するきっかけとなるものです。

たとえば自分が担当している商品が一気に売れて最高評価を受けたものの、その成功が実はブームに乗ったためであるということに気づかない場合です。その結果、ブームが去った後も同じような営業スタイルを続けたため、どんどん評価が下がるようなことが起きてしまいます。

あるいは、残業や休日出勤もいとわず昼夜を徹して努力して成功した場合なども同様です。その後も事あるごとに昼夜を徹しなければ成功できない、という思い込みが強くなってしまい、心身を壊してしまうこともあります。

このように、視野狭窄とは、成功体験によって生み出されやすい性質を持っています。自分が成功したという事実のみが強く印象に残り、改善すべき点や課題が見えなくなってしまうからです。

視野狭窄によって失敗してしまった人は、自分がその状態に陥っていることに気づかない限りなかなか復活できません。

視野狭窄の状態から脱出するためには、なにをすべきでしょうか。

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