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ディベートゲームで主語を変える練習をする

成功した人が陥りやすい視野狭窄とは、常に主語が自分自身の状態です。他人の考えや意見に対して、常に自分自身を中心に考えてしまうのです。

視野狭窄の状態では、他人が示すちょっとした意見でも、自分自身に対する否定のように感じられてしまいます。

たとえば「他の営業スタイルを試してみてもいいのでは」という助言は、まるで自分自身の能力不足を笑われているかのように感じられてしまいます。

「残業と休日出勤ばかりを続けていると体を壊しますよ」という心配の言葉は、過去の自分の否定として聞こえるかもしれません。

そんな視野狭窄の状態を脱するためには、主語を自分から置き換える必要があります。

チームや会社といった組織を主語にする方法が理想です。チームの成功のためには、時に意見をひっこめることも必要だということが理解できるからです。

けれども、自分の意見ややり方をどうしても変えられないような、こじらせた視野狭窄の状態では、いっそのこと、立場を変えてしまうような取り組みも有効です。

これは、自分自身でそうすることは難しいのですが、あなた自身の周りに視野狭窄の人がいる場合には、ぜひ試してみてください。

ゲームそのものはシンプルです。

たとえば「幽霊は存在するか?」という題目をたて、存在する派と存在しない派の二手に分かれて10分間議論します。もし可能なら審判役を決めて、その人に議論を聞いてもらったうえで、勝利チームを決定します。

大事なことはその次です。存在する派と存在しない派を全く入れ替えて、すぐにまた10分間議論するのです。

そうして改めて勝敗を判断します。

たかがゲームと思うかもしれませんが、自分と反対意見の立場に立つ、という経験は実生活ではほぼ存在しません。

またゲーム形式は、誰かにいさめられるようなものでなく、自分自身で気づけるタイミングにもなりえます。

視野狭窄に陥っていない状態でも、ぜひ一度試してみてください。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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