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コンプレックスと真正面から向き合い、解消する

田村さんはこれまでの人生で、自らのコンプレックスから目をそらさずに向き合い、「自分にも手の届く国家資格(税理士)を取る」「30歳までに結婚する」といった目標をかなえることで自信をつけてきた。税理士事務所を開業して軌道に乗り始めていた33歳のときに「人生の心残り」として思い浮かんだのが、「早稲田大学へ行くこと」だった。

「大学受験時には自分の成績では無理だと考え、本当は行きたかった早稲田大学を受験しなかったことがずっと心に引っかかっていました。一方で、顧問先の起業家などから経営のアドバイスを求められることも多く、早稲田でMBAを取得して経営の専門知識を身に付ければ、仕事の『武器』も増え、コンプレックスも解消できるのでは…と考えたのです」

夫に相談すると「挑戦してみたら」と言ってもらえたことから、早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)を受験して合格。2歳の娘の世話の大半を夫に引き受けてもらい、2年間のカリキュラムを修了した。「無事にMBAを取得した私から、積年の『早稲田コンプレックス』はきれいさっぱり消え去り、後に残ったのは『やり遂げた!』という達成感と自信でした」。

学歴や資格は自身の「ブランド」の1つとして使えることは間違いないが、持っていることで周囲からの評価が変わることよりも、それを得るまでに積み上げた努力や経験による「自信」が生まれることのほうが大きい。学びによって自信が持てる自分になることは、努力を要するが効果の高いセルフブランディングの王道だ。

仕事の場での自分の立ち位置を見極めながら、日々のコミュニケーションや事務作業、そして学びにおいて、自分に足りない部分を補い、良いところを伸ばすという「普通」の努力。それを着実に重ねることが、仕事で自信を持つための圧倒的な近道なのだと、田村さんは自らの経験を通して教えてくれている。

自分を「普通」よりもできると思っている人でも、できないと思っている人でも、「ありたい姿」の水準をどこに定めて、そこに向けてどこまで努力できるかが、仕事や人生で自信を持てるようになるためのセルフブランディングの肝といえるだろう。

(日経ウーマン 藤川明日香)

 田村麻美
 1984年埼玉県生まれ。立教大学経済学部卒業後、同大学大学院で経済学研究科経済学専攻博士課程前期課程修了。都内の大手税理士法人、埼玉県内の税理士事務所を経て2013年、東京都足立区にて自身の税理士事務所を開業後、現在、税理士法人江波戸会計東京支社長・TRYビジネスソリューションズ社長。2019年、早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。夫と娘の3人家族。

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