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ごきげんファームの主要施設は国が定めた「就労継続支援B型事業」に当たり、障害者に月額平均2万5000円を支払う。全国平均は2012年度で1万4190円。中山さんはネギ畑で1日約2時間半、週5日働く。同法人は農家から日当1200円を受け取り、ファームでの賃金と一括で中山さんに支給している。五十嵐さんは「仕事を増やして賃金を増やす」と話す。

障害者の活躍の場は企業でも広がる。福祉団体の就労施設や特別支援学校、ハローワークを経て企業に就職する障害者は、13年6月時点で40万9000人弱となり、10年連続で過去最多を更新した。障害者雇用促進法で定めた法定雇用率2%には満たないが、社会参加が進む中、ハンディをものともせず、活躍する人も出てきている。

LIXILの正社員になった神谷さん(手前、東京都江東区)

LIXILの正社員になった神谷さん(手前、東京都江東区)

LIXILで受発注データのパソコン入力などの一般事務をこなす神谷靖史さん(42)はその一人。身体にハンディがあるとはいえ入力の速さと正確さは健常者と同じ。入社して4年目の1997年9月、嘱託から正社員になった。

神谷さんが働く東京都江東区の本店ビルには38人の障害者がいる。そのうち10人は正社員。7月には本店敷地内にバリアフリー設計の障害者就労センターを新設した。同社は見学会を実施して、多様な人材が集まる職場を公開していく考えだ。

キャリアアップの道も広がってきた。情報システム会社のJFEシステムズに03年1月に中途入社し、経理部で働く視覚障害者の南俊樹さん(37)は今年4月、管理職で3番目のポストである主任部員になった。

活躍できる社会へ

簿記やシステムエンジニアの国家資格を持ち、経理のほか情報システムに精通する能力を会社は評価した。障害者で管理職になった例はまだ少ないという。「仲間の事務処理をチェックするなど仕事が増えた」と笑う南さん。部下との意思疎通にも支障はないそうだ。

障害者雇用に詳しい人材紹介会社、インテリジェンス(東京・千代田)障がい者雇用促進事業部の大浜徹さんは「先進的な企業はトップのコミットがある」と話す。その上で「先進企業は障害者の働く意思と能力を把握し、どのように働かせるかのノウハウを持つ。経営陣の旗振りのもと、全社で取り組む体制が必要」と強調する。障害者がより一層活躍できる社会作りはこれからが本番だ。

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