京大の開拓精神支えに環境の未来を開く レノバ木南氏
木南陽介・レノバ社長兼CEO(下)
旅から戻りインターネット関連のベンチャー企業でアルバイトを始めた。ビジネスの面白さに目覚め、自身も友人5人と起業した。

「京大を表す言葉でいちばん好きなのは『探検大学』。何もないフロンティアを探検し、開拓していくことこそ価値があるという姿勢を端的に表している」と語る
仲の良かった友人がある会社にバイトで入ったきり大学に出てこなくなって、新興宗教にでもハマったんじゃないかと心配しているうちに、私自身もそこに吸い込まれていきました。当時は 「ウィンドウズ95」が出たばかり。そのソフトウエア開発やプロバイダーの立ち上げなどをするベンチャー企業で、時給700円、決して高くない時給で朝から晩まで働いていましたが、仕事はすごく面白かった。「経営企画室」という名刺を作ってもらい、半分社員のようでした。
「こうやれば会社ってできるんだ」と思い、大学を1年休学。京大の友人3人、同志社大の友人2人で会社を立ち上げ、私が社長になりました。当時住んでいたマンションの6畳一間を事務所にしていたので、深夜や土日に私が2段ベッドの上で寝ていても、四六時中誰かがその下で仕事をしている状態でした。手がけていたのはネット通販の受発注システムの開発やネットワーク管理の請負で、その頃から経営や戦略に関心を持つようになりました。人や技術、お金をどうやって調達し、どういう計画を立てて事業を拡大していけばいいのかを知りたくていろんな本も読みましたが、あまりピンとこない。そんな矢先、以前のバイト先で一緒に働いていた友人がマッキンゼーに内定し、「コンサルは経営戦略を専門にやっているから、インターンに参加してみたら」と教えてくれたのです。
インターンは東京で1週間ほどでしたが、問題を分解し解決していくプロセスを体験し、これは面白いと感じました。私自身はもともと「自分のやりたいことをやる」という人間で、客観的に課題を分析し、あるべき打ち手を優先度をつけて実行して成果を上げる、といった思考法はあまり得意ではなかったのですが、こういう思考法を理解していないと世の中の問題解決はできないし、自分の弱点を補強するためにもコンサルで働いてみたいと思いました。幸いマッキンゼーの選考を通過したので、友人とやっていた会社は後輩に譲り、一度ビジネスの最先端を体験しようと入社しました。