日本式経営はダメじゃない アマゾンも認める真の実力
『日本"式"経営の逆襲』
まず、日本式経営というのは、ひとまずは日本発の経営技術という意味である。
そうであれば『日本発の経営技術の逆襲』というタイトルでもよいはずである。しかし、これを日本式経営の逆襲としたのには意味がある。もちろん、このままでは長すぎるし、内容が伝わりづらい、ということもある。
しかし、一番の理由は、本書には「日本の経営がもう一度世界で飛躍できるように」という願いが込められているためである。そのために、本書を通じて日本に蔓延する根拠のない自信喪失感をまずは払拭し、日本の経営への確かな自信に根差した「正しい危機感」に変化させたい。だからこそ、次に述べるように、やはり日本式経営の逆襲でないといけない。
すなわち本書は、日本の経営技術だけが再評価されることを目指しているのではない。日本の経営技術の強みを正しく認識したあとに、日本企業の経営成績も、日本の経営学も、世界にもう一度存在感を示せるようになることを願っている。そのため、やはり目指すべきところは総合的な日本式経営の逆襲にあるのである。=編集部注 傍点は省略
(序章 日本の経営をめぐる悲観論は正しいのか 21ページ)
そうであれば『日本発の経営技術の逆襲』というタイトルでもよいはずである。しかし、これを日本式経営の逆襲としたのには意味がある。もちろん、このままでは長すぎるし、内容が伝わりづらい、ということもある。
しかし、一番の理由は、本書には「日本の経営がもう一度世界で飛躍できるように」という願いが込められているためである。そのために、本書を通じて日本に蔓延する根拠のない自信喪失感をまずは払拭し、日本の経営への確かな自信に根差した「正しい危機感」に変化させたい。だからこそ、次に述べるように、やはり日本式経営の逆襲でないといけない。
すなわち本書は、日本の経営技術だけが再評価されることを目指しているのではない。日本の経営技術の強みを正しく認識したあとに、日本企業の経営成績も、日本の経営学も、世界にもう一度存在感を示せるようになることを願っている。そのため、やはり目指すべきところは総合的な日本式経営の逆襲にあるのである。=編集部注 傍点は省略
(序章 日本の経営をめぐる悲観論は正しいのか 21ページ)
日本発の経営技術が海外から逆輸入?
日本企業が世界的なグローバル競争時代を勝ち残るために何が必要なのか。その経営モデルをどう構築していけばよいのか。その問いかけに回答を与えるヒントは「第3章 経営技術をめぐるグローバル競争時代を生き抜くために」の中にあります。
この章では「経営技術の逆輸入モデル」と銘打った見出しで、詳しく日本発の経営モデルについて触れています。「文脈依存度」という少々、難解な言葉で解説しているのですが、要するに、企業内、産業内、業界内、地域内といった「文脈」に強く依存するような知識にとらわれ、それを一般にもわかる経営モデルに昇華させることがないことが問題だと指摘しています。米国系のコンサルティング企業がそれを普遍化し、著者のいう「コンセプト化」という形で経営モデルに仕上げている。せっかく個々に優れた経営モデルであっても、同質性の強い日本企業ならではの弱さ、突き詰めると情報発信力の制約があり、一般化し切れていないところに、原因があるとしています。
「それでは、経営技術が逆輸入されるとして、企業にとって何が問題だというのだろうか。ありうる問題の一つは、状況によっては、すでに自社が保持していた経営技術を自ら捨てることになりかねないということである。そして、その結果として現場が混乱し疲弊する。混乱と疲弊がもたらされ、おまけにもともとの経営技術も捨ててしまいかねない」(111~112ページ)と強調しています。
これまで日本企業は世界に通用する経営技術を生みだし続けてきた。
しかし、日本の産官学はこうした経営技術をコンセプト化して世界中に発信することにかけては、海外と比べて一歩出遅れていたといえる。こうした発信ができれば日本の産官学にとって多くのメリットがあるにもかかわらず、である。
それどころか、日本の経営技術がアメリカをはじめとした海外企業や海外研究者によってコンセプト化され、日本に逆輸入されることさえあった。経営技術という状況は、流行におどらされて自社の強みを自分で破壊してしまうことに等しい。
(第3章 経営技術をめぐるグローバル競争時代を生き抜くために 125ページ)
しかし、日本の産官学はこうした経営技術をコンセプト化して世界中に発信することにかけては、海外と比べて一歩出遅れていたといえる。こうした発信ができれば日本の産官学にとって多くのメリットがあるにもかかわらず、である。
それどころか、日本の経営技術がアメリカをはじめとした海外企業や海外研究者によってコンセプト化され、日本に逆輸入されることさえあった。経営技術という状況は、流行におどらされて自社の強みを自分で破壊してしまうことに等しい。
(第3章 経営技術をめぐるグローバル競争時代を生き抜くために 125ページ)