「競争は嫌い」出社は週3日、前沢流の粋な働き方
スタートトゥデイ社長の前沢友作氏が語る(上)
高校2年生になる頃には、勉強する気もすっかり失せていました。授業をサボって建築関係のアルバイトをし、そのお金でスタジオを借りて、バンドの練習をしていました。バンドって、いろんな音が重なり合って一つの音楽が奏でられるじゃないですか。それが楽しかったんですよね。
進学校でしたから、周りは当然、大学受験を目指して一生懸命に勉強しています。高校2年生にもなれば内申書も意識し始める。「前沢とつるむと内申点が悪くなるぞ」という友だちとは疎遠になりましたし、両親も途中からは「大学はもういい。卒業さえしてくれれば、それでいいから」と言っていました。
とにかく、みんなと同じレールに乗って生きていくのが嫌でしかたがなかったんです。その先には、無限の競争が待っているような気がしてならなかった。
競争することに何の意義も感じられなかったし、自分の存在意義がどんどん薄れていくような気がして、たまらなく嫌でした。
メジャーデビューするも「何か違う」
高校を卒業してからもバンド活動は好きで続けていましたが、「プロになろう」と思っていたわけではありません。ライブハウスで演奏していたら、レコード会社からたまたま声がかかり、「じゃあ、やってみようか」ということになった。
最初はインディーズのレコード会社から、4曲入りのセブンインチ(シングルレコード)を出しました。運良く、それが数千枚売れた。結局、それが僕らのファーストシングルCDになり、最終的には数万枚売れたんですが、メジャーデビューしたあたりから、「何かが違うな」と感じ始めていました。

スタートトゥデイ社長の前沢友作氏
ただ、音楽が好きで始めたバンド活動。なのに、メジャーデビューしたとたん、決められたタイミングで、決められた曲数のアルバムを出さなきゃいけなくなる。アルバムを出したら出したで、全国ツアーへ。気がついたら、いつも、同じメンバーと行動を共にしていました。
「これじゃサラリーマンとちっとも変わらないじゃないか」
そう思った瞬間、バンド活動に飽きはじめたんです。
じつは、その頃、音楽活動と掛け持ちで、自分が好きで海外から買い付けた洋楽のCDやレコードを通信販売していました。だんだんと、そっちの方がおもしろくなってきた。
結局、それが今の「ゾゾタウン」へとつながっていくわけです。
1975年生まれ、千葉県出身。早稲田実業学校卒。音楽活動を経て1998年に有限会社スタート・トゥデイ設立(2000年に株式会社化)、04年にファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」開始。07年に東証マザーズに上場、12年に東証第1部に上場。13年にファッションコーディネートアプリ「WEAR」開始。
(ライター 曲沼美恵)