働くなんて「余暇活動」でいい ボーナスは同じ
スタートトゥデイ社長の前沢友作氏が語る(下)
当時、僕が輸入したCDやレコードはどこでも簡単に手に入るようなものではありませんでしたから、お客さんも喜んでくれました。だったらもっと集めようかと思いながらやっているうちに最初はA4判の紙1枚しかなかった商品リストが、いつの間にか、100ページくらいのカタログ冊子になっていました。

スタートトゥデイ社長の前沢友作氏
売れれば楽しいし、お客さんも喜んでくれるからますます楽しくなる。気がついたら、年商が1億円近くにもなっていました。
それだけ売り上げをあげていても、会社としてはまったく体をなしていませんでした。肝心の社長である僕が全国ツアーを回っていて、マネジメントはほったらかし。それで、15人いたスタッフが一気に3人にまで減ってしまいました。
社員の給料日もしょっちゅう忘れるくらいでしたから、当然ですよね。さすがに「このままじゃいけないな」と思い、就業時間を定めて、組織図を書きました。社長として目覚めたタイミングがいつかと聞かれれば、おそらく、その時でしょうね。
競争はしない。ボーナスも一律
紙のカタログからオンラインへと切り替えたのは2000年です。当初はシステム開発を外注していましたが、使っているうちに自分たちのニーズと合わなくなってきたので、自分で秋葉原に行って本を買い、それを見ながらサイトを作りました。
やってみたら、意外と簡単でした。それまでは、カタログの制作や配送費に、売り上げの15%くらいコストがかかっていたんです。インターネットの通販に切り替えたら、営業利益率が一気に改善しました。
余裕ができた分、「何か新しいことをやろう」と思い、自分たちの好きな洋服をセレクトして売り始めました。そうして出来上がったEC(電子商取引)サイトが、今の「ゾゾタウン」。
「ゾゾタウン」では、常時、30万点以上の商品を取り扱っています。システム、デザイン、物流などECに関わる機能のほぼすべてを僕らが自前で手がけています。最近では、新品の商品だけでなく「ZOZOUSED」というサービスでブランド古着も販売しはじめました。
1200人以上いるスタッフの多くは、洋服が好きで、自分が着たい服を売れるなんて素敵じゃないかと思って入社してきています。僕自身もそう。好きなことをトコトン突き詰めたら、結果的にそれがビジネスになる。これは輸入CDを販売していた頃から変わらない真実だと思いますし、変えたくない部分です。