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その頃、僕は父と一緒にカメラショーと呼ばれる展示会に出かけていき、必要な機材を買ったりもしていました。移動中の車内ではよく、ラジオのお笑い番組を聴いていました。それが、日本の漫才みたいに「ボケ」と「ツッコミ」があるお笑いだったんです。アメリカにも昔、あったんですよ、そういうスタイルのお笑いが。

その時はまさか、自分が日本でコメディアンになるとは思っていませんでしたけれど。

GEのリーダーシップ・トレーニングを受ける

大学を卒業して最初に入ったのは米ゼネラル・エレクトリック(GE)グループです。GEには有名なリーダーシップ・トレーニングのプログラムがあり、そのプログラム生に合格すると、働きながら大学院の修士課程に通えて、学費も会社が負担してくれる。お給料ももらえるから、すごくもうかる。こんなに魅力的なことはない、と思いました。

同じ年にプログラム生として入った同期が10人くらいいました。「誰が一番早く出世するか」の競争は、激しかったです。1年ごとに異なる実務課題が与えられ、それをローテーションでクリアしていく。2年目には、早くもマネジャーに昇格した人間もいました。

プログラムが終わる年に、僕はイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の修士課程を修了しましたが、結局、それと同時に会社を辞めることになりました。

なぜって? 日本語を使わせてくれなかったからです。

日本語は大学時代、必修外国語で勉強しました。僕が通っていたミシガン州立大学は、たまたまアジアの言語に強くて、中国語か日本語のどちらを選ぶかとなった時、ITで栄えている国は日本だろうと思って、日本語を選んだ。

アメリカにいる間、好きなことは何でも日本語でやりました。本を読むのも、ゲームをするのも、テレビを見るのも全部。インターネットで検索するにも、まずは日本語で調べていました。

修士課程で学びながら、日本語検定1級も取りました。他の人たちと差異化するためにそうやって努力していたわけですが、会社はぜんぜん、それを使わせてくれようとはしなかった。

「日本には現地法人があるから、日本のことは現地採用の人たちに任せればいい」と言われたんです。「だったら、日本語を生かせるところに行きます」と思い、僕は会社を辞めました。

ジェイソン・D・ダニエルソン氏
1986年、米ミシガン州生まれ。飛び級でミシガン州立大学へ入学し、コンピューターサイエンスを学ぶ。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校へ進み、エンジニアリング学部コンピューターサイエンス学科修士課程修了。米国企業の日本法人支社長等を経て、2012年、テラスカイ入社。14年から「厚切りジェイソン」の名でお笑いタレントとしても活躍。著書に「日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy」(ぴあ書籍)がある。

(ライター 曲沼美恵)

>> 厚切りジェイソン(下) Why Japanese business!? 二足のわらじで世界広く

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