Why Japanese business!? 二足のわらじで世界広く
「厚切りジェイソン」こと ジェイソン・ダニエルソン氏(下)
人生ってなんだろう、僕ができることってなんだろうって、悩み始めました。
その頃、家の近所のショッピングセンターで毎月、お笑いのイベントをやっていることを知り、見に行きました。それがきっかけで、お笑いの養成所に通うことになりました。
日本ではよく「二足のわらじを履くなんてすごいですね」とも言われるけれど、これはおかしい。1つのことしかやっちゃダメと言われているように聞こえる。
僕が養成所に通ったのなんて、土日だけです。同じように養成所に通う人の中には、耳鼻科の院長とか、仕事を持って働いている人もいました。
どうして、会社員だけ、ほかのことをしちゃいけない?
仕事だけの人生で、みんな、満足ですか?
アメリカには、趣味でスタンダップコメディーをしている人はたくさんいますよ。
アメリカで出世競争している時だって、僕は定時で帰っていました。
二足のわらじを履くからこそ広がる世界がある

14年に芸人としてデビューしてから、僕は会社の仕事も芸人の仕事も、どちらも100%のエネルギーを注いでやっています。
会社ではアメリカ法人の副社長として、日本で作った製品を海外に売る仕事をマネージしています。アメリカに部下が2人いますので、現地時間に合わせて僕も働く。今はサマータイムだから、日本時間の午後10時が、ニューヨークの午前9時半。だいたい、その時間に合わせて電話会議をしています。
朝のテレビ番組にレギュラー出演し、夜はアメリカと電話会議。「大変ですね」って言われますけど、ぜんぜん。終電まで飲み会しているのと、変わらないんじゃないですか?
僕は収録が始まるのを楽屋で待つ間にIT系の仕事をしたり、会社の出張で飛行機に乗っている時にネタを考えたり、いつも、2つの大きなことを同時進行しています。どちらの仕事も真面目にやるし、ある意味、仕事が気分転換にもなる。
芸人の仕事をすることによって、会社にいるだけでは磨けないスキルも身につくし、それを会社の仕事で生かせます。まだ「得意」とは言い切れないけれど、人前でしゃべるのはぜんぜん、怖くなくなりました。