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――いち研究者から、国の研究機関のトップ、政府の重要政策に関する会議の民間議員など仕事の幅を広げられました。なろうと思ってもなれるものではありません。なにか秘訣はありますか?

私利追わず最適化図る

「役所の審議会などに呼ばれたときに、学術界の代表として呼ばれているのか、大学のマネジメント経験者の代表として呼ばれているのかなど、自分の立場や役割を認識したうえで、意見を述べてきました。自分や自分の研究分野の利益になる主張ばかりする人がいますが、行政には受け入れられないでしょう」

「行政が決めるのは『順位付け』です。防衛、科学技術、社会保障すべて大事ですが、誰かが順位付けをして限られた予算を配分しないといけません。首相を含む行政側の判断材料を、様々な立場の代表者から集める場が、審議会です。そう認識して自分の利益は棚に上げ、アカデミア(学術界)の代表として発言してきたことが、科学技術の政策に関わる仕事に携われた大きな要因だと思います」

――産学連携プロジェクトや国の政策に関わる仕事を通じて親交のあった経済界のリーダーで、印象に残っている人はいますか。

「私には到底まねできないリーダーシップを発揮している方が多いです。特に、私が東京大学の先端科学技術研究センターの所長の時に客員教授として来ていただいたJR東海元社長の故・葛西敬之さんのリーダーシップは強烈でした。国鉄改革を信念でなし遂げた経験に基づく自信と厳しさで会社を引っ張っていました。リニア中央新幹線は反対論もある中で葛西さんの強い意思のもとで実現に向けて動き出したと感じます」

(福岡幸太郎)

光触媒の有力研究者
はしもと・かずひと 1955年北海道生まれ。85年東大で博士号取得。東大教授、同大先端科学技術研究センター所長などを経て、2016年に物質・材料研究機構(NIMS)理事長、22年4月から現職。政府の産業競争力会議や総合科学技術・イノベーション会議の民間議員も務め、政官財に幅広い人脈を持つ。有害物質などを光で分解する光触媒の研究で国際的に知られ、国の大型研究プロジェクトを率いたほか、企業との共同研究にも実績がある。

お薦めの本


ローマ人の物語(塩野七生著)
 史実に基づいた歴史小説はリーダーのあり方を探し求める上でとても参考になりました。素晴らしいリーダーもいれば、だめな人もいる。見本市と言えるほど、色んなタイプが出てきます。
[日本経済新聞夕刊 2022年9月1日付]

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