育休法改正は好機 「駄言」の言い換えで社会を変える
ダイバーシティ今回の法律では、男性の育休がクローズアップされがちですが、実は女性にとっても大きな変化がありました。従来は、育休を一続きで取得しなければならなかったところ、2回に分割して取得できるようになったこと。そして、入社後1年未満の有期雇用者は育休を取ることができませんでしたが、これが取得可能になったことです。文言として「女性」ではなく「労働者」とあるので、あまり目立たないのですが、ぜひ注目してほしいポイントです。
皆さんは、今回の法律改正により、従来通り、女性が1年程度の育休を取得することに加えて、男性が8週間内のうち4週間以内で短期間取得するようになるというイメージをお持ちかもしれません。しかし、今後、この法律が浸透していくにつれ、女性が育休を丸々1年間は取得せず、夫と数カ月ずつ取得するケースも出てくるはずです。さらには男性も長短さまざまな期間で休みを取るようになり、経営者は、これまでより短い期間で人繰りを調整するという新しい課題を抱えることになります。補填人員をその都度、短期間で雇用することは難しいため、一定期間、定員より少ない人数で従来の仕事を回す態勢を整える必要も生じる可能性があります。組織の運営方法を根本から考え直さなければいけないフェーズに来ているのかもしれません。
駄言調査の実施と『#駄言「言い換え」辞典』作成を
さて、『#駄言辞典』に対して、2つ提案があります。1つ目は、駄言に関する調査の実施です。『#駄言辞典』に掲載されている駄言をウェブに掲載し、「違和感を持つ」と「共感する」の2軸で5段階評価してもらう。回答者に年齢の年代と性別、住んでいる地域も回答してもらう。40~50個の駄言に対してどう思うかを答えてもらえば、年代別に「この発言は20代は駄言だと捉えるが、30代以上はあまり駄言とは捉えない傾向がある」といったことが分かります。地域による違いも見えてくるでしょう。
誰かが駄言を言ったときに「それを20代の人に言ったら、駄言だと思われますよ」「いやあ、私は駄言多発地域の出身なんですよ。以後、気を付けますね」なんていうコミュニケーションが生まれるきっかけにもなるのではないでしょうか。
さらには3~5年後にまた同じ調査を行って、結果を日本地図でマッピングして、真っ赤な駄言多発地域が、青い駄言のない地域に変わったりしていたらうれしいな、と思います。
2つ目は、「言い換え」の事例を満載した『#駄言「言い換え」辞典』を作ること。言い換える例文をたくさんストックしておけば、駄言を言われたときにパッとそれを言い換えられるじゃないですか。言われて嫌だと思ったときのリアクションにつながるような情報発信があるとよいと思います。
(構成 小田舞子=日経xwoman)
[日経xwoman 2021年7月8日付の掲載記事を基に再構成]