スタンフォード流勉強法 脳科学生かし記憶力アップ
ビジネススキル【レッスン1】「一時的な記憶力」を最大限に生かす方法
勉強を進める上で重要なのが記憶力。それに関わる機能の1つが「ワーキングメモリ」だ。ワーキングメモリの容量は小さく、鍛えることができない。加齢とともに記憶力の低下が否めないなかで、このワーキングメモリを最大限に生かす学び方がポイントになる。
短期的に記憶にとどめる「ワーキングメモリ」
学んだことを一時的に自分の意識にとどめ、整理したり組み替えたりする脳の機能。容量は小さく、鍛えられない。マルチタスクや目新しいこと、選択などが負荷をかけるので、負荷を分散させる学習法が効果的。「"ワーキングメモリには限界があってパンクしやすい"と把握するだけでも余計なストレスが取り除かれ、学習効果が上がります」。
1 負荷をかけずに分散する
<「全体ざっくり」から「パーツじっくり」の順で>
ワーキングメモリの負荷を分散させるには、時間をかけて覚えるといい。テキストを読むときも、全体の概要をざっくり把握してから1つひとつの部分をじっくり読み、位置づけや全体との関係性を考える。「基本を把握し、例外は後回しに」。
1 全体をざっくり見渡す
「全部で6ステップある」「AとBがポイント」など、全体のイメージをざっくり見渡して概要を把握する。
2 パーツをじっくり見る
全体を構成している1つひとつのパーツを、順番に徹底的に集中して理解していく。ここに時間をかける。
3 関係性をチェックする
理解したパーツと全体との関係性や位置づけを考えながら、全体のイメージと部分の理解をさらに深めていく。
4 例外は後回しにする
例外や特例がある内容は後回しにする。まずは基本をきちんと理解し、後から例外を理解すればOK。
2 ポモドーロ・テクニックで集中力を回復
<30分勉強して5分休憩する>
休憩なしで勉強を続けると、ワーキングメモリの機能が低下するとの研究結果も。25分勉強して5分休む「ポモドーロ・テクニック」が効果的だが、時間は学習習慣や能力に合わせて。「勉強は30分~90分、休憩は5分から15分を目安にしましょう」。
1 室内を5分程度歩く
2 雑談する
3 観葉植物や窓の外を眺める
4 エンタメ動画を鑑賞
5 呼吸法を1分間行う。目を閉じて鼻から3秒間かけて息を吸い、6秒間かけて口から吐く
3 マルチタスクで「ワーキングメモリ」の効果が低下
<話を聞きながらノートを取らない>
講義で話を聞きながらノートを取るマルチタスクはワーキングメモリへの負荷が大きく、集中力の低下に。「キーワードだけメモしたり、講師の雑談中に書くなどがおすすめ。講義終了後に、思い出しながら一気にノートにまとめるのも〇」。
4 ガチャついた部屋は「ワーキングメモリ」の負担に
<勉強部屋の装飾は控えめに>
ガチャついた部屋は簡素な部屋より集中しにくく、学習効果も下回るとの研究結果も。「ただし、どんな装飾でリラックスし、モチベーションが上がるかは人それぞれ。自分に合った勉強部屋の装飾を改めて検討しましょう」。
5 音量より音の変化が学習効果を下げる
<気になる雑音は他の音でかき消す>
音量よりも、音の変化のほうが学習効果の低下を招く。ガーというホワイトノイズを流し周囲の音をかき消したり、好きな音楽を流したりして、どの状態が最も集中できるか試してみよう。
6 記憶を邪魔する過度なデザインに要注意!
<視覚や聴覚を使う教材を取り入れる>
図解が多いテキスト、ポッドキャスト、動画など、視覚や聴覚による効果を混ぜ合わせて学べば、ワーキングメモリへの負荷が分散され、学習効果は上がる。ただし、凝りすぎたグラフィックデザインや動画の特殊効果などはかえって逆効果になることも。
7 記憶力を上げる裏ワザ
<勉強時に流していた音楽を睡眠中にも流す>
脳の海馬に蓄積された記憶は、睡眠中に脳内で"再放映"され、長期的な記憶になる。「勉強時に流していた音楽や香りを、睡眠中にも流したり漂わせたりすると、記憶が脳に定着しやすくなるとの研究結果も」。