変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

組織の垣根越え自立

――自立性を大事にされているのですね。

「上意下達ではなく、個人が自立して自分の考えをもとに行動するということが、中長期の会社の力になると信じています」

「ある時、千葉県のとある病院を訪問したヘルスケア担当の社員が、難病を抱え自由に動けない患者さんが『一度だけでも星空を見たい』と話しているのを聞いたそうです。その社員は自分で何かできないかと考え、自発的にプラネタリウム子会社の社員と連携し、移動式の仮設プラネタリウムを作ったのです」

「休日を使って病院を訪れ、医師や看護師の協力も得ながら、その患者さんとご家族のために院内でプラネタリウムを上映したというのです。この話が思いがけず耳に入ってきた時、私はとても感動しました」

――会社の枠組みを超えて動ける人が重要だということですね。

「14年に社長に就任した時に、前年に子会社7社を吸収合併して純粋持ち株会社制を廃止していた背景から『One KM(KMはコニカミノルタの略)』というスローガンを作りました。技術や人など会社の総力をひとつに結集するという狙いからです」

「何かの問題意識に直面した社員が、社長や上司からの指示ではなく自発的に考え、事業や会社の垣根を越えてひとつになって連携してくれたことは、とてもうれしかったです」

(為広剛)

アート鑑賞で感性磨く
やまな・しょうえい 1954年兵庫県生まれ。77年早稲田大学商学部卒、ミノルタカメラ入社。2002年執行役員。06年コニカミノルタホールディングス(現コニカミノルタ)取締役、14年コニカミノルタ社長。22年4月から現職。
 入社後すぐにカメラ貿易部に配属され、年間150日は東南アジア、中東など海外を飛び回りカメラの販路開拓を担った。趣味はラグビー観戦と美術館での絵画鑑賞。「アートと経営には共通点があり、感性を磨くことにもつながる」という。

お薦めの本


「エンデュアランス」(アルフレッド・ランシング著、山本光伸訳)
 危機に対応し目標を南極大陸横断からチーム全員生還に切り替えたリーダーの判断が素晴らしい。特性の違う人を活躍させる点も学ばされます。
[日本経済新聞夕刊 2022年8月18日付]

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