「もちろん母乳だよね?」 いえ、ミルクですが何か?
ダイバーシティ『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書から、駄言の実例とその駄言を生んでいる背景の分析を公開。今回は「子育て」に関する駄言「その3」を紹介します。
「母親なら手抜きするな」
2020年7月、「子連れのお母さんがスーパーで総菜のポテトサラダを手に取っていたところ、たまたま通りかかった男性客から『母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ』と言われているのを見た」というツイートが話題になりました。ここでもいくつかの価値観の押しつけを見て取ることができます。「料理は母親の役目だ」「子どもが口に入れるものは母親が手作りすべきだ」……という社会的プレッシャーが、母親一人の肩にかかる場面が多いのです。
現実を見れば、今は味も栄養バランスも良い総菜が簡単に手に入る時代。「市販のお総菜もうまく取り入れて、その分、家族でゆっくり食事を楽しみましょう」と呼びかけるぐらいがちょうどいいのかもしれません。
今回集まった駄言の中で多かったものの一つに、「母乳?」という言葉もありました。「母親は子どもを母乳で育てるべきだ」という「母乳神話」に基づき、「もちろん母乳で育てているよね」と聞かれることがあるのだそうです。親戚だけでなく、街中で初対面の人から聞かれることも少なくないとか。
今はお湯で溶かす必要のない、液体ミルクという便利な商品も発売されている時代です。母乳であれミルクであれ、何より大事なのは、たっぷりの愛情を注ぐことです。
また「(子どもを)保育園に行かせるの、かわいそう」という駄言も複数ありました。共働き世帯の増加に伴い、保育園や幼稚園に預けたり、延長保育を利用したりする世帯は増えます。子どもは親だけではなく、さまざまな人たちが関わって育てていくものです。

ツイッターへの投稿で話題を集めた「ポテトサラダ事件」も記憶に新しい