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地方にいると新しい情報が入って来ないとか、対面でのコミュニケーションが難しいなどと言われてきましたが、新型コロナウイルス禍で多くの人が在宅勤務を経験し、実はそうした考え方は思い込みにすぎなかったと気づきました。今回のパンデミック(世界的大流行)を機に地方に移住したり、都市部と地方を行き来するハイブリッドな働き方にシフトしたりする人が増えています。こうした今までにない地域のダイバーシティーの広がりが、イノベーションにつながることに大きな期待を抱いています。

バングラデシュの方が日本より進んでいる一面も

私が新しい発想が生まれる場所として大事にしているもう一つの拠点はバングラデシュです。尊敬してやまないグラミン銀行創始者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏の祖国です。ユヌス氏が率いるグラミングループと当社は貧困に苦しむ人々の所得向上や生活改善、日本の食料供給安定化を目指し、合弁会社のグラミンユーグレナ(正式名はユーグレナGG)を設立し、緑豆プロジェクトなどに取り組んでいます。そのため、世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は、現地に足を運ぶことも多かったのですが、日本よりバングラデシュの方が進んでいることに気づき、日本で効率的にビジネスを進める方法を思いつくことが多々ありました。

「え? バングラデシュの方が日本より進んでいることなんてあるの?」。そう思った方も多いでしょう。確かにバングラデシュは世界最貧国の一つですから、意外かもしれません。一例を挙げましょう。日本ではコロナ禍の緊急対策として国民1人当たり10万円の特別定額給付金が支給されました。21年3月までに配った総額は12.7兆円。その支給にどのくらいのコストがかかったかご存じでしょうか。答えは約1500億円です。申請書を印刷して発送し、さらに人々が提出した申請書に間違いがないか、二重申請がされてないか、非常に細かなチェックを行うために膨大な紙と人件費が使われました。大まかに言って、国民1人当たり10万円を配るのに1000円のコストがかかったのです。

一方のバングラデシュはどうでしょう。当社は国連世界食糧計画(WFP)と連携し、ミャンマーで迫害されてバングラデシュに逃れてきたイスラム系少数民族ロヒンギャの人々に食料の支援をしているのですが、難民キャンプでの食料配布は実にスムーズで、コストは僅かです。しかも1件の不正もありません。私は当初、ズルをして他人より多くの食料を受け取ろうとする人が出てくるなど、トラブルが多発するのではないかと危惧したのですが、現実は全く違ってびっくりしました。

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