変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

そこで私はきっぱりとこう言ったんです。「ちょっと待って。それは違うでしょう!絶対に分かってもらおうという決意を持って話にいっても駄目な時なんていくらでもあるのに、最初から『どうせ話しても駄目だろうけど』なんて気持ちで話し合って、うまくいくはずがないじゃないですか。そんないい加減な気持ちで話にいくのなら、時間の無駄です」。すると彼女は急に真面目な顔になり、「確かにその通りですね」とすっくと立ち上がり、ボスのところに行きました。その結果、どうだったか。残念ながら、その後も2人の相性は悪いままで、彼女はボスのことを嫌っていました。でも、これはビジネス上の付き合いなのだと吹っ切れたようで、その後は仕事に支障を来すことはなくなりました。

「近ごろの若者は……」は偏見

他人同士なのですから、合わなくて当然。とりわけ、カルチャーやバックグラウンドが違う外国人と何から何まで分かり合えるなんて幻想です。ダイバーシティーがあると言われる米国だって、人種や国籍を巡っていろいろと問題を抱えています。ただ、そこでブツブツと陰で文句を言い続け、ネガティブな感情を増幅させるのは良くないと思うのです。

日本人同士でも部下が集まって上司の悪口を言い、留飲を下げているというのはよくあるシーンです。特に人事に関しては、皆さんもいろいろと言いたいことがあるでしょう。でも、文句を言っているだけでは非生産的です。そういう時は自分があの部長ならどういう人事をしただろうと視点を変えてみてはどうでしょう。案外、理不尽に思えた人事にも納得できる点が見つかったり、代案を考えることが自分のマネジメント能力の向上に役立ったりするものです。

文句を言っているだけでは非生産的だ

文句を言っているだけでは非生産的だ

さて、ここからはチーム内での年齢問題についてお話ししましょう。前回のコラムで「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」について触れましたが、「近ごろの若者は……」というのもよくあるバイアスです。「すぐに会社を辞める」「打たれ弱い」「考えが甘い」などと批判したがるオジサンがいっぱいいますね。

僕は基本的に若い人の方が優秀だと思っています。人類の歴史から帰納法的に考えても、若いほど性能がいいというのは明らかでしょう。だって500万年前から人類が滅びずにここまで生きてこられたのは、世代を経るごとにちょっとずつちょっとずつ優秀になっているからです。私はもっと多くの人がこのことを認識すべきだと思っています。

じゃあ、採用の場面でも今の若者は一昔前に比べて優秀になっているかと問われれば、個別には優秀な人は昔もいたし、今もいる。同様に昔も今も、それほどでもない人もいるというのが私の答えです。まあ、長い人類の歴史からすれば、10年、20年でそんな急激な変化は見られなくて当然ですよね。ただ、少なくとも一昔前と同じか、もしくは優秀になっているというのが実感です。

私は「近ごろの若者は……」などと言っている暇があったら、年功序列の方を一刻も早くなくすべきだと思います。年功序列という仕組みは日本という国が本来持っている力をものすごく低下させている元凶だと思います。日本と米国の最大の違いもそこにあります。

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