ひとつ上から課題に迫る 筑波大学・永田恭介学長
筑波大学 永田恭介学長(上)
私のリーダー論チャレンジングな改革を
――学際性といえば、大学院をひとつにして、教育・研究における専攻の壁をなくすという筑波大の改革は話題になりましたね。
「第4期の中期目標・中期計画に向けて第3期の後半に、研究を担う大学院組織を1つにしたいと思うようになりました。筑波大学大学院総合科学研究科にする改革です。日本の大学院は国の設置基準から、専任教員や学生は研究科を超えて混じり合うことが困難になっています。これではもったいない。ならば一研究科にすればいい。一番チャレンジングな改革をやろうと奮起しました」
「いざ改革になると反発が強く厳しかったです。教員から『なんでそんなことをする必要があるのか』と集中砲火も浴びました。マネジメント上、慣れたものから移りたくないからでしょう」
――反発にはどのように対応したのですか。
「時間がかかっても理念や理屈で説得するしかありません。大学の教育とは何か。そこから話していくしかない。教えたいことを教えるのが大学ではなく、学びたいことを用意するのが大学です」
「大学院をまとめたとき、学生のメリットとデメリットがどうなるかを考えてほしいと訴え続けました。根気よく話し合いを続けながら前に進めていくのです。侃々諤々(かんかんがくがく)の末、段階的に行うことになり、8あった研究科は今3つになりました。いずれ1つにしたいと思っています」
――経験上リーダーに求められる資質とは何ですか。
「性格を自己分析すると『ATM』です。いつも明るく(A)、楽しく(T)、そして前向き(M)に。研究も仕事も楽しくないというのはきっと何かに問題があり、事情を抱えているからです。明るくやれないことなど論外。もちろん後ろを振り返ることもありますが、物事を決めるのは前に向かって決めなければなりません」

次世代のリーダー育成プログラム参加者らと(中央が永田氏)