おかしいと言える組織作る 大手監査法人トップの役割
EY新日本監査法人 片倉正美理事長(下)
私のリーダー論良い情報うのみにせず
――リーダーという役割をどう感じていますか。
「従業員5700人とその家族を含め、多くの人の将来を背負って真剣勝負の毎日を過ごす。そんなことは人生でなかなか経験できないことです。監査法人のビジネスモデルを変革すると決めて思いを伝え、皆が承認してくれてその方向に動く。リーダーはとてもエキサイティングです」
「課題にスピーディーに取り組めるのも役得です。女性登用がそうです。優秀なのに、男性に比べグローバル企業の監査や法人の経営を担う本部の仕事などの重要な役割はなかなか与えられなかった。女性も入れてよと働きかけ、経験を積ませることで、優秀な人がいると分かってもらえます。EY新日本の役員16人のうち、かつて女性は私1人でしたが、今では4人。私の今の立場はご縁もあってこそですから、後輩にもそのご縁を多く作っていきたいです」
――気をつけていることはありますか。
「情報の確かさです。上の立場になるほどいい情報も悪い情報も極端になりやすいと感じます。アンケートで『すごく良かった』という回答があっても、答えていない人が一定数いたら、その『良かった』はうのみにしない方がいいでしょう。パートナーとのミーティングや職員4~5人との対話などは、何でも言える雰囲気の醸成に加えて現場の声をすくい上げる貴重なルートになっています」
(企業財務エディター 森国司)
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ゴルフでメリハリ学ぶ
新型コロナウイルスの感染拡大でホットヨガ教室に通えなくなった。代わりにはまったのがゴルフだ。2019年末に米国旅行中プレーし面白さを再認識。二十数年ぶりにクラブを買い替えた。健康のため毎週練習する。コースを回る相手は社内、夫、夫の会社の取引先など幅広い。
最初の一打でその日のスコアが左右され「意外と引きずる性格かも」と気づく。ゴルフで切り替えがうまくなれば「仕事でもメリハリを付けられそう」。
リーダーを目指すあなたへ
最後は自分で決断し、逃げずに責任をとる。この覚悟があればどんなスタイルのリーダーでもいいと思います。自分のスタイルを目指してください。それが自分の強みを一番発揮できるはずです。