揺れるミャンマー情勢 続く民主派弾圧、遠のく高成長
ニッキィの大疑問名瀬さん「今後の展開はどうなるのでしょう」
国軍は23年8月までに再選挙を実施すると宣言しています。NLDに不利なよう選挙制度を変更して軍系政党を勝たせ、民政復帰の体裁だけ整えたうえで、政治権力を維持しようともくろんでいます。
しかし市民の多くは前回の選挙結果を支持しています。再選挙にスーチー氏不在のNLDが参加するのか、選挙自体を実施できるのかなども不透明です。内戦状態だった少数民族勢力と国軍との戦闘激化も、懸念材料といえます。
政変と新型コロナウイルスの感染拡大で、国際通貨基金(IMF)は、21年のミャンマーの国内総生産(GDP)が前年比18%減だったと推計しています。仏エネルギー大手トタルエナジーズなど外資企業も相次ぎ撤退を表明しました。「最後の未開拓市場」と注目され、高成長を続けてきた同国経済は一転、不振長期化の恐れがあります。

ちょっとウンチク
「開発なき独裁」再来の恐れ
11年に発足したテインセイン政権は国軍直系で、当初は「軍服を背広に着替えただけ」と酷評された。ところが予想外に民主化を進め、高い評価を得た。改革の成果として16年に誕生したスーチー派政権を国軍が転覆したのは皮肉な図式だ。
東南アジアでは戦後、経済成長を優先して国民の政治的自由は制限する「開発独裁」の国が多かったが、かつてのミャンマー軍政は成長からも取り残されていた。クーデター後の体制が「開発なき独裁」の再来を意味するのだとしたら、巻き戻した時計の針は10年では済まないかもしれない。(アジア総局長 高橋徹)
ニッキィとは
日本経済新聞を日ごろからよく読んでいる女性読者の愛称として「ニッキィ」が生まれましたが、新たに2代目のニッキィとして人工知能(AI)を活用したバーチャルなキャラクターが誕生しました。日本経済新聞社の研究開発組織、日経イノベーション・ラボがスタートアップ企業のデータグリッド(京都市)の協力を得て、日経の若手社員の顔写真をAIに学習させ作成しました。
「なぜこんなことが起きているの」といった疑問、好奇心をもとに、2人がベテラン記者に質問していきます。
[日本経済新聞夕刊 2022年2月7日付]