変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

切磋琢磨続け成長

「銀行員時代の利益供与事件でも、当時の秘書が『あのとき後藤さんだけは平然とした顔でしたよね』と。どんな状況でも落ち込んだり悲観的に考えたりすることはありません。目の前のことにベストを尽くしていれば、いつか夜は明けます。くよくよする必要なんてないんです」

――次のリーダー育成へどう取り組んでいますか。

「トップダウンで判断すべき局面もありますが、ボトムアップも大切だと思います。全従業員対象の意識アンケート調査や、グループ会社の社員が集まり経営層にアイデアを提案する『ほほえみFactory』など仕組みをつくってきました。私自身も若手や中堅社員の意見を聞くことを心がけています。伊豆箱根鉄道や西武ライオンズなどグループ各社の経営陣が育ってきている手応えはあります」

――西武HDの次期リーダーに求める条件は。

「明るくてさわやか、執念があって『おとこ気』がある。ここはぜひ求めたいです。細心にして大胆な決断ができ、決してぶれないこと。部下や周りからの人望も欠かせません。様々なリスクに対してアンテナを高くして、当社の持続的成長を担ってもらえる人材を期待しています」

――高難度な要求ですね。

「大丈夫です。立場が人をつくります。私自身も立場によって育てられました。切磋琢磨(せっさたくま)して立派なリーダーになっていく。そうした素養のある人を選びたいですね」

(石崎開)

◇  ◇  ◇

音楽を聞きながら読書

「気分転換は上手なほう」。デッキチェアに腰を掛けてクラシックや演歌を流しながら歴史書を読んだり、冬は雪山でスキーを楽しんだり。ゴルフも好きなほか、新型コロナウイルス禍前は仲間とカラオケでストレス発散することもあった。

酒もたしなむが「翌日に体調が悪くなるような自分の判断力を鈍らせる飲み方はしない」。「楽しく話しながら飲むのが好き。酒癖の悪い人とは絶対に飲みませんよ」と笑う。

ごとう・たかし 1972年東大経卒、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。97年に発覚した総会屋利益供与事件後、経営陣の退陣を主張するなど若手改革派の中心を担った。2004年みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)副頭取。西武グループの再建に携わり、05年西武鉄道社長。06年から現職。73歳。

リーダーを目指すあなたへ


「ピンチは最大のチャンス」と捉え、難局にぶつかっても逃げないでほしいです。人生も企業経営も、厳しい状況にあってもポジティブ思考で挑戦すれば、難局から抜け出すことができるのです。
[日本経済新聞夕刊 2022年12月8日付]

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