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被災地支援もスピード

――2011年の東日本大震災をきっかけに、東北に居を移してボランティア活動に取り組んでいますね。

「大きなリストラを断行して自分も職場を去り、フリーのコンサルタントになりました。東北は以前から度々訪れていて大好きな場所です。震災があってまず思ったのは『自分になにができるか』。知人などのつてを頼りに情報を集めると、あるNPOから『今後は助成金申請などの支援が必要になってくる』と言われました。これなら私の専門分野です。東京の自宅を売って5月には宮城県気仙沼大島の養殖業や民宿、商店など小規模事業者の方々の事業再開支援を始めました」

東日本大震災を機に東北に居を移し、助成金の申請などを手伝った(右から2人目が本人)

東日本大震災を機に東北に居を移し、助成金の申請などを手伝った(右から2人目が本人)

「この時に感じたのは、日本では大規模災害時にスピード感を持って判断できる仕組みがないということ。平時の法律を自治体や省庁ごとに適用するので、復興の全体方針がなかなか決まらない。危機の時こそ強いリーダーシップが必要だと思い知りました」

「もし今が平穏な状態であるなら、自分の人生を棚卸しする機会をもったほうがいい。今置かれている周囲の状況やスキルを客観的に評価する。そしてやりたいことを実現するために必要なものは何かを確認する。周りや自分の状況は刻々と変化するので、ぜひ定期的に棚卸しをして目標も見直しましょう。会社も同じで強みや弱みがどこにあるのか、今どういう状況にあるのかを把握できれば、やるべきことが見えてきます」

(編集委員 中村奈都子)

育児しながら会計学ぶ
たしろ・ゆうこ 1954年鹿児島県生まれ。19歳で米国人と結婚し渡米。3人の娘を育てながら大学で会計学を学ぶ。卒業後KPMGに入所、95年からパートナー。帰国後GE購買戦略担当を経て2003年フェニックス・リゾート最高財務責任者(CFO)、05年エーオンホールディングスジャパン取締役最高業務責任者兼CFO。11年の東日本大震災を機にNPO法人を設立し被災地支援に携わる。16年からアコーディア・ゴルフで社長や会長を歴任。ヤマハ発動機社外取締役なども務める。

お薦めの本


「わが経営」(ジャック・ウェルチ著)
会社を変えるとはどういうことか。強いリーダーシップを発揮しながら、何より人を育てることを大切にし、社員研修にも必ず顔を出してくれました。経営はシンプルであるべきと学んだ一冊。
[日本経済新聞夕刊 2023年3月9日付]

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