村木厚子氏 「情報を上げたい」と思わせるリーダーとは
厚生労働省 村木厚子元次官(下)
私のリーダー論
厚労次官退任のあいさつをする村木さん(2015年)
情報上げたいと思わせる
――情報を上げたいと思われる上司になることが大切だと常々話されています。
「重要な情報が耳に入らずに『自分は聞いていない』という上司がいます。私もそう言いたいときはありますが、自分が部下の立場だったら、本当に大事な人には相談しています。もっとはっきりいうと、役に立つ上司のところには情報を持っていきます。大事なことを聞かされないのはリーダーとして格好悪いことなのかもしれません」
――役所で働いていた女性同士、助け合うようなことはありましたか。
「先輩が徹底的に後輩の面倒を見ていました。1対1のメンター制度ではなく、1対複数なんです。誰かが転勤する、出産するといったタイミングでは必ず一緒に食事していました。先輩の中には独身の人も子育て中の人もいて、それぞれの視点からアドバイスされるんです。方向性がバラバラにみえることもありますが、後輩の側はそのなかから自分がどうしたいか考えながら決められます」
「女性のネットワークをつくってくれる会社が増えました。一方で自分は孤立無援だと感じる女性もいます。その場合、外の人が集まる研修に出してもらえるよう会社にお願いしてみてはどうでしょう。社外で同じ立場の人とつながるのです。私も外のネットワークに助けられました」
――生産年齢人口は減り続けており、人手不足に悩む企業は今後増えそうです。日本の職場はどのようなことを意識すべきですか。
「今いるメンバーの力をフルに発揮させられるチームをつくることがリーダーには求められるでしょう。まず目的を設定する。さらに目的に向かってそれぞれがどういう役割を果たすかを考える。それには部下の強みを把握しなければなりません。メンバーの強みを最大限生かし、足りないところを補い合える体制をつくれるのがいいリーダーではないでしょうか」