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オリンパス会長 竹内康雄氏

オリンパス会長 竹内康雄氏

約10年前に不正会計で揺れたオリンパスで、経営の立て直しを担ってきたのが竹内康雄会長(66)だ。世界に通用する医療機器メーカーを目指す「グローバル・メドテックカンパニー」という戦略を掲げ業績は好調だ。「社員のやる気を高めることが企業価値を高めることにつながる」と話し、4月からはESG(環境・社会・企業統治)担当役員も兼務する。

――オリンパスは2023年3月期に過去最高益を更新したようです。不正会計事件の後、どういう発想で立て直したのでしょう。

「企業として価値を高め、世の中に価値を提供する会社にしたいとの思いでやってきました。自分がいい仕事をしたいというアスピレーション(願望)はあまりなく、高尚な志があったわけでもありません。不正会計は一部の経営陣の間で起きたことで、多くの社員とは無縁のことでした。私はオリンパスを好きだったし、いい会社にしたいとの思いでここまで続けてきました」

――リーダーとして会社を引っ張っていく、と思ったときに影響を受けた人はいますか。

「企業の経営者でみると、米IBMの最高経営責任者(CEO)などを務めたルイス・ガースナー氏やゼネラル・エレクトリック(GE)の元CEOのジャック・ウェルチ氏でしょうか。日本ではオリックスの宮内義彦シニア・チェアマンですね。いずれの経営者にも共通しているのが企業の価値を高め、変革もしている点です。私がイメージしているリーダー像は何でもかんでも変えることではなく、的確な手を打つなかで企業価値を次々と高めることにあります」

「社員がやる気にならないと企業価値は高まらないと考えています。究極的にCEOの役割は社員をやる気にさせること、そして組織を活性化させることです。オリンパスの規模だと約3万人の社員が世界中にいて、その取引先も含めて一枚岩になってもらう必要があります。世の中に貢献するという目標に向けて、オーケストラの指揮のようにできれば一番強いのではないでしょうか」

――社員を引っ張って企業価値を高める。実現するのは難しいですが、どのような施策をとってきましたか。

「まず企業理念やパーパス(存在意義)、コアバリューをつくりました。どんな事業を提供しているかどうかに関係なく、みんなで心をひとつにするためには、やる気が起こらないとできません。そしてやる気を起こしてもらうには、オリンパスで働きたいという気持ちが必要となります。そのためには、オリンパスにはキャリアをつくる上でチャンスがあると明確に示すことが重要です」

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