オリンパス・竹内康雄会長 やる気高めて企業価値向上
オリンパス 竹内康雄会長(上)
私のリーダー論高い目標、逃げ道断つ
――自身が求めてきたオリンパスへの改革を、経営陣として実行する側に回りました。
「自分が経営側に回ったので、あえて逃げられないようにしました。自分にも会社にも高い目標を設けました。日本流の企業統治(コーポレートガバナンス)では、逃げ道をいっぱいつくってしまいますよね。オリンパスもかつてはそんな状態で(不正を)隠してしまったことで、最終的にはみんなに迷惑をかけてしまった」
「まず経営戦略で(営業利益率20%という)高い目標を設定しました。そのうえで米運用会社バリューアクト・キャピタル出身のロバート・ヘイル氏を社外取締役に迎えました。会社のガバナンスを指名委員会等設置会社にし、取締役の多様性を高めました。社外取締役が増えたことで、執行側にとってハードルも高くなりました」
―――不正会計事件の後、デジタルカメラなどの映像事業を売却するなど選択と集中を進めてきました。
「あのまま映像事業がオリンパスの中にあっても、たぶん事業として潰れていたと思います。事業として生きている間に切り離して別の道を行ってもらう。事業の価値を高め、存続してもらうことが重要と考えて判断しました。こうした手を考えてきたことで、医療事業を強化する戦略がより明確になり『グローバル・メドテックカンパニー』になると宣言することができました」
(大西綾)
経営立て直しに奔走
たけうち・やすお 1957年東京都生まれ。中央大学商学部を卒業後、オリンパスに入社。経理部に配属後、82年に米国へ1度目の駐在。日本に帰国し、93年に再び米国駐在。2009年、オリンパスの欧州統括会社の取締役就任。不正会計が発覚した後、11年に同社会長に就任。旧経営陣の退任後、オリンパスの立て直しに奔走する。海外での駐在は米欧など合わせて14年10カ月に。16年オリンパスの副社長、19年4月に社長兼最高経営責任者(CEO)。23年4月より現職。
お薦めの本
「真田太平記」(池波正太郎著)
実ビジネスの世界や自分のいる世界と違うため、気分転換になります。真田太平記はドラマ化もされています。時代物を中心に継続して読書をしています。
[日本経済新聞夕刊 2023年5月11日付]