変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

情報の判断能力重要に

――新たな情報に出合うために、どのようなことを意識していますか。

「本、雑誌、テレビ、インターネット、情報源は今はたくさんあります。中でもインターネットは重要視しています。当社では1990年代からパソコンを1人1台支給し、いち早くその可能性に目をつけていました」

「一方で、今は情報が氾濫している時代。フェイクニュースも多く、情報リテラシーが重要性を増しています。昔は情報を取りに行く能力が求められました。今のリーダーには、あふれる情報からどの情報が信用できるのか判断する能力が特に求められるようになっていると思います」

――後継者へのバトンタッチについてはどうお考えですか。

「マーケットの状況をしっかりと理解していることが大前提です。企業経営で有名な人だからというだけで、海外や他社からポッと採ってくるようなことはしたくありません。外からいきなり来れば、周囲とのリレーションもないですからね。次を担う世代にインセンティブを働かせられるかどうか、という視点を非常に重要視しています」

「企業をどう成長させていくか、という命題に対して柔軟な切り口で考えられる人が必要です。現在、一生懸命に教育をしている最中ですが、それなりに育ってきています。先見性と信頼感を持った人材に引っ張っていってもらいたいですね」

(田村峻久)

◇  ◇  ◇

年に十数回は甲子園へ

大阪府出身、生粋の阪神タイガースファンだ。1959年、天覧試合での村山実・長嶋茂雄の対決や、85年の「バックスクリーン3連発」など、今でも数々の名シーンを思い出す。星野仙一監督が率いた2003年は、リーグ優勝を球場で見届けた。

勝ったときには全力で喜び、負けたときには怒ることも。人間にとって、喜怒哀楽を思いっきり表現することが非常に大事だ。いつも冷静沈着で理屈ばかり言っているようなリーダーではいけない。

いえつぐ・ひさし 1949年大阪府生まれ。京大経卒、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。神戸や東京・京橋での支店業務のほか、頭取秘書などを経験した。86年、東亜医用電子(現シスメックス)入社、取締役。社内の制度改革に奔走し、95年に大阪証券取引所二部に上場を果たす。96年に社長に就任し海外展開を進め、海外売上高を85%にまで高めた。2013年からは会長を兼務する。16年から22年まで神戸商工会議所の会頭を務め、地域経済の活性化に貢献した。

リーダーを目指すあなたへ


好奇心を持つことです。世の中はどう変わるのか、今後どんなものが求められるようになるのか、想像力を働かせます。今のうちから習慣にして、意識的にトレーニングをしていきましょう。
[日本経済新聞夕刊 2023年1月12日付]

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック