勢いづく「メタバース」 仮想空間で分身が購入・体験
ニッキィの大疑問
仮想的な3次元空間を利用したサービスが一段と広がってきた(写真はイメージ) =PIXTA
「最近メタバースという言葉をよく聞くようになったけど、イメージがわかないわ」「インターネットの中に作った仮想的な世界のことだけど、これまでのウェブコンテンツとはどう違うのかな」
メタバースを巡る状況について、バーチャルキャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが吉川和輝編集委員に聞きました。
日比くん「メタバースはどのようなもので、どんなサービスが利用できますか」
インターネット上の仮想的な3次元空間のことで、「超越」を意味する「メタ」と、「ユニバース」(宇宙)を組み合わせた言葉です。多くの場合、利用者はヘッドマウントディスプレーを付けて空間に入り込み、中では分身キャラクターである「アバター」が動き回ります。仮想の街を移動し、実際に買い物もできます。大勢の観客アバターとコンサートも楽しめます。
メタバースはフェイスブックが「メタ」に社名変更したことで注目されました。同社は、従来のSNS(交流サイト)を超えるネットワーキングサービスを目指すようです。米マイクロソフトも協業アプリの「チームズ」を軸に、事業を展開する計画です。
オンラインゲームの「フォートナイト」が昨年開いたコンサートの観客は1000万人を超え、国内でもスタートアップのHIKKY(ヒッキー、東京・渋谷)が100万人規模のイベントを開きました。成長分野として関心が高まっています。
名瀬さん「最近、急速に浸透してきたようです」
関連技術の進展で、仮想空間の魅力が高まったことが大きな理由です。CG(コンピューターグラフィックス)や仮想現実(VR)技術で、リアルな世界を再現できるようになりました。代表例は東京・渋谷の街歩きができる「バーチャル渋谷」でしょう。多くの人のアバターが同時参加できるのも、通信・CG技術が進歩したからです。
新型コロナウイルス感染症の影響もあります。今まで通り出歩くことや、対面での仕事が難しくなり、リモートワークが定着しました。コミュニケーションを高め、体験をより現実感あるものにすることが期待されています。
日比くん「様々な産業への波及効果がありそうですね」
米ボストン・コンサルティング・グループなどによると関連機器の市場規模は、2024年には現在の10倍の約2970億ドルに達します。サービスや広告なども含めた関連市場全体の市場規模は、28年に8000億ドルを超えるとの予測もあります。
半導体大手で人工知能(AI)事業も手がける米エヌビディアは「オムニバース」という、メタバースを構築できるプラットフォーム事業に力を入れています。独BMWは、これを使って自動車工場で機械や作業員が動く様子を再現しました。メタバースをモノ作りなどの産業活動に活用する事例といえます。
また、デジタルアートなどをブロックチェーンの仕組みを使って安全に売買する、非代替性トークン(NFT)が話題になっていますが、メタバースでこのサービスを行う試みもあります。こうした経済活動のインフラが整うことで、メタバースへの信頼感が高まるでしょう。