精米工場に入り浸った学生時代 現場見てこそ人は育つ
神明ホールディングス 藤尾益雄社長(下)
私のリーダー論農業守る 意志つなぐ
――後継者の条件についてはどのように考えますか。
「これは自分にもずっと言い聞かせているんですけど、成功するまで決して諦めない人がいいですね。私自身、社長になってから今までの間でうれしいことはたくさんありましたけど、達成感を感じたことは実はまだないんです。というのも、神明の目標は日本の農業を守ることですから。これはずっと達成できていないし、まだ時間がかかる。絶えず目標に向かって進んでいってくれる人でないといけません」
「起業家精神、ベンチャースピリッツも大切です。社員全員、特に将来リーダーになる人には持っていてほしい。これが企業を成長さすんです。この精神がなくなった企業は成長しませんよ。会社の規模は経営者の器以上にはなりません。会社を大きくしようとすると、経営者は努力して器を大きくしないといけないんです。ただね、今言ったような人は間違いなく、現場、現物を大事にします。そう考えると、最終的には現場ともつながっていますね」
(田村峻久)
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「強さ」憧れた幼少期
どちらかと言えば内向的な性格の子だった。勉強はできるが細くて小柄であだ名は「秀才」。それが嫌だった。「あしたのジョー」「タイガーマスク」……。アニメで見た強いヒーローに憧れた。
殻を破ろうと中学・高校では柔道に熱中。登校時は足に重りをつけ、毎日坂道を登った。高校時代には副キャプテンを務め、性格はがらりと変わった。「あの頃はもう、人前に出るのが好きになっていましたね」。コメ卸からの脱皮を図る今につながる原点がある。
ふじお・みつお 1965年兵庫県出身。芦屋大教育卒、神明(現神明HD)に入社。米穀部、営業部などを渡り歩き、2007年に社長に就任。
リーダーを目指すあなたへ
目指したい経営者を見つけることです。会うことは難しくても、その人が書いた本を読めばそこには必ずヒントがあります。憧れの企業、経営者をとことん研究してみましょう。
[日本経済新聞夕刊 2021年10月14日付]