変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

違い許容し「郷」つくる

「製品の設計が複雑だったことで、事業化の際のコスト構造もオペレーションも複雑になり、組織マネジメントの難易度が上がったことがありました。組織内で不安も起きやすくなります。そのプロジェクトは一度振り出しに戻しました。試行錯誤ですね」

――目指す水処理ビジネスの強みはどこですか。

「ソフトウエアによる自律制御で安全性を担保することが当社のコアです。小型システムの管理は高度なデジタル技術が必要で、競合がほぼいません。課題はコストですが、過疎地域や島しょ国などでは、現状でも既存インフラより当社の製品の方が競争力があります」

――社員数は1年前から2倍程度に増えているそうですね。組織が大きくなる際の苦労はありますか。

「社員には下水処理場を何十施設も造った方もいますし、米航空宇宙局(NASA)で水の研究をしていた方もいます。いろんなメーカーから技術者が転職してきますが、まず使う言語が違います」

「伝統のある会社なら用語が統一されて、『企画』『設計』『計画』が何を指す言葉なのか皆が理解できます。新しい人が入社しても『郷に入れば』、といった具合ですが、WOTAにはいま郷が存在しません。WOTAらしいと感じる言葉は残します。ただ、社外の人が持ち込んできた、業務を効率化するのに良いと思った言葉があれば、社内用語として受け入れる場合もあります」

(向野崚)

建築学んだ若き技術者
まえだ・ようすけ 1992年徳島県生まれ。18年東大大学院で建築学を修了。11年東大進学のために上京し、東日本大震災後の断水を経験。隈研吾氏ら建築家の指導も受けながら、都市インフラや衛生設備を学んだ。
 在学中からチームラボ(東京・千代田)などでセンサーや制御開発に従事。17年にWOTA最高執行責任者(COO)、20年から現職。「小規模分散型水循環システム」の開発による、水問題の解決を目指す。
お薦めの本
ホンダ イノベーションの神髄(小林三郎著)
 本田宗一郎さんは目標としている経営者の一人です。人間を最優先にして、一つの技術にこだわらない考え方を参考にしています。
[日本経済新聞夕刊 2022年9月15日付]

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