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叱責後は部下をフォロー

――正論を振りかざしすぎて、部下がついてこないことはなかったのでしょうか。

みずほ証券社長として世界を飛び回った(ロンドン出張時、左が本人)

みずほ証券社長として世界を飛び回った(ロンドン出張時、左が本人)

「名古屋などで支店長を経験しました。当時は部下を大きな声で注意したり、モノにあたったこともありました。今思えば恥ずかしい限りです。あるとき言いっぱなしはよくないな、ということに気付きました。怒ったことには理由がある。だから必ずフォローをすることにしました。『あなたが憎くて怒ったわけじゃない。仕事が憎かっただけです』と謝るようにしました。人間だから感情はありますが、上長が部下を一方的に叱りつけるのは組織管理の上でマイナスしかありません」

「優秀で120点の仕事をできる人が1人いても成果は120点しかない。部下10人を60点で働かせるようにできたら600点です。組織はどちらを選ぶでしょうか」

――リーダーになる過程での失敗経験はありますか。

「小さな失敗はたくさんありますが、金融マンとして最も悔いが残るのは08年に起きたサブプライムショックの影響を読み誤ったことです。このショックは米国のサブプライムローンの不良債権化と証券化商品の価格暴落が世界経済を混乱に陥れるのですが、予兆を見抜けませんでした」

――みずほ証券社長としてその事後処理に追われることになります。

「米投資銀行の友人に『サブプライムローンがまもなくはじける』という話を聞き、驚いて社内の市場関係者を招集しました。『うちはサブプライムローンの証券化商品を持っているのか』と聴取すると、現場の回答は『持っていない』でした。あとで事実でないことが分かるのですが、この時点では徹底的に調べなかった。大きなしくじりでした。上に立つ人は物事をしっかり真っ正面からとらえ、自分の責任において対応するのが重要だということを改めて思い知らされました。この後の処理は責任を全うすべく動きました」

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