「今はまだ」は好機逃す アコーディア・ゴルフ田代氏
アコーディア・ゴルフ 田代祐子会長(下)
私のリーダー論
アコーディア・ゴルフ会長 田代祐子氏
19歳で結婚し渡米した田代祐子会長。3人の娘を育てながら大学に通い、会計学を学んだ。キャリアのスタートは遅かったが、様々な企業を経て2016年に当時上場企業だったアコーディア・ゴルフ社長に就任。大変さを乗り越えた先に成長があるという。
――小さい頃からキャリアを意識していましたか。
「女性にキャリアなどない時代に育ちました。周りで大学に進学した女性も皆、卒業すると見合いして23〜24歳で結婚します。何のために大学にいくのかわからない。中学受験を機に勉強が嫌いになり、集団行動も苦手で高校生の時に落ちこぼれました」
「親の勧めで英語の専門学校に通うため上京し、米国人と知り合い結婚しました。窮屈な日本や親から離れられるのはうれしかったけれど、最初に居を構えたオハイオ州は周りがみな白人で、外国人など見たことない。日本を知る人もおらず異物扱いです」
「あるとき"ママ友"から子供を預けあって交代で大学に行かないかと誘われました。通い始めると勉強が楽しくて仕方ない。何かを学ぶってこんなに楽しいのかと初めて感じました。大学の近くに転居し1日何度も往復しながら子育てと勉強を続けました」
「渡米当初は日本人であることをハンディだと思っていましたが、大学では成績で米国人に負けていない。米国ではたとえ外国人であろうと女性であろうと子どもがいようと、実力があれば認めてもらえます。この国で生きていく自信ができました。大変でも、困難を乗り越えた達成感は何ものにも代えがたい。『今が心地いいからまあいいや』では人は成長しません」
――リーダーを志したのはいつごろですか。
「卒業前に会計学専攻生の集まりがあり、大手会計事務所のKPMGのパートナーから声をかけられました。トヨタ自動車がケンタッキー州に工場をつくるので日本語が話せる人材を探していたのです。まさか自分が大手事務所から誘われるなんて。このチャンスを逃したくない。家族を説得し、引っ越しました」
「私の人生は幸運の連続でしたが、実は誰の前にも同じようにチャンスはあり、捉え方次第で結果が変わってくるのではないでしょうか。『今はまだ』という人に、次のチャンスは巡ってきません」