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100周年で理念書き換え

――重大な決断を迫られた時に大切にしていることは。

「どんな状況でも受け入れて、その時にできることをやり、できれば楽しみたいと思っています。新型コロナ禍は重大な決断の連続でした。2工場を閉鎖し、30店舗を閉め、4カ国から撤退し、商品数も3分の2に減らしました。商品を増やすマルチブランド戦略と海外展開で会社は成長し、業績も上がってきたのですが、取締役になって20年近くかけて増やしたものを、この2年ほどでほとんど失いました」

「30代は戦略で、40代は言葉で会社を動かしてきました。50代になって理念で動かしたいと考えるようになりました。100周年に向けて企業理念を書き換えています。自分の心がみんなの心とひとつになれた時、会社や世の中を動かせるのだと信じています」

――いま新たな目標は。

「2016年に南アフリカを訪問する機会があり、経営への考え方が変わりました。それまではマルチブランド戦略で突っ走ってきました。勝つことで自分も社員も幸せになれると。ある会合で一橋大学の米倉誠一郎先生にお会いし、『社員は幸せなの? それで君は?』と問われて、答えにつまってしまいました。『地球の裏側に行けば分かるよ』と言われて、先生とともに南アフリカに行きました」

「スラム街で見つけたお菓子屋さんで、子どもが誕生日プレゼントだという綿菓子やアメなどの袋詰めを大切に抱えていました。きょうだいや友だちと分けて食べるんだと。その時にふと思ったのが『お菓子で世界を平和にしていきたい』ということでした」

(小嶋誠治)

高校でサッカーに熱中


かわもと・ひでお 1969年神戸市出身。明治大商卒。大手食品会社を経て、慶応義塾大大学院修了後、99年にユーハイム入社。2015年社長に就任。創業者の妻で初代エリーゼ・ユーハイム、事業を引き継いだ祖父・春男、父・武に次ぐ4代目。
「自分のやりたいことを表現できるフィールド」として高校までサッカーに熱中。高校時代は部員が100人を超えるチームを主将として束ねた経験も。3年生の時に大けがをして選手生命を絶たれたことが人生最初の挫折だと振り返る

お薦めの本


「ビッグ・クエスチョン」(スティーヴン・ホーキング著)
自らのビッグクエスチョンに答えを出そうとする際、ホーキング博士のNo boundary(限界を設けない)という言葉に勇気をもらっています。
[日本経済新聞夕刊 2022年2月17日付]

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