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――米国での駐在後、欧州の統括会社のトップなどを務めました。海外駐在で苦労はありましたか。

「苦労というより、米国での約10年の駐在でグローバルな見方を知った気になっていました。それが欧州での経験によって、おこがましい感覚だと気づかされました。例えば米国では英語という単一の言語が通じます。米ドルを使える巨大な市場があり、まずはマーケットをがっちりつかむことが重要です」

「一方、欧州はどんぐりの背比べのような中小規模の市場が複数あり、そこで最大の効果を出すことが重要視されます。欧州はそれぞれの国同士が歴史的に敵だったこともあって、企業の戦いも戦略としたたかさが求められます。欧州での経験はミニ・グローバルマネジメントのようでした。こうした米欧の違いには、目がぱっと開く思いでしたね」

米国の駐在中は経理をはじめ、様々な仕事を経験した(左から2番目が竹内氏)

米国の駐在中は経理をはじめ、様々な仕事を経験した(左から2番目が竹内氏)

トップ交代、自然な流れ

――不正会計事件が発覚した後、旧経営陣が退任。その後経営の立て直しに奔走し、19年にオリンパスの社長となりました。

「リーダーになったからこそマネジメントに対する積年の思いを果たそう、そして毎年ちゃんとした結果を出そうという思いで企業改革を断行してきました。デジタルカメラを手がけていた映像事業などを売却。会社のビジョンとして医療事業に力を入れる『グローバル・メドテックカンパニー』への変革を掲げました」

――危機から組織を立て直す際に必要なリーダーの力、役割とは何だと思って経営にあたっていましたか。

「そんな偉そうなものはありません。当時の思いとしてはふたつありました。ひとつ目はやらないといけない使命感。ふたつ目はオリンパスについて私はずっとよくなる会社だと考えていたことです。会計の不祥事でも事業の屋台骨が揺らぐことはなく、医療機器をはじめ顧客が離れることはほとんどありませんでした。『これだけ内視鏡製品を世界に広げておいて、後は誰が面倒を見るんだ』と奮い立ちました」

――4月にシュテファン・カウフマン氏が新しくオリンパスの社長に就任しました。

「旧来型の製造業としての色が強く残る会社をグローバル化する必要があると感じていました。改革のマインドを持った人とともに、外国人取締役を含めた経営チームをつくりました」

「私は日本企業を変革するといった経営には向いているかもしれません。しかし、グローバル企業のチームビルディング、プロジェクトマネジメント力などは次の社長の方が優れているところがたくさんあります。いずれグローバル・メドテックへの変革のフェーズから、医療へよりフォーカスする経営にオリンパスは変わっていくと感じていたので、トップの交代は自然な流れでした」

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