部下からの「もっと好きになって」に衝撃 J-win内永氏
J-Win 内永ゆか子理事長(下)
私のリーダー論サッチャー元英首相に感銘
「そうすると不思議なことに、自然に顔がにこやかになり、相手との関係もほぐれます。この言葉は長らく私の座右の銘になりました」

日本IBM時代、米国で開かれた講演会で英国のサッチャー元首相(手前左)と内永さん(右)
――内永さんが考えるリーダーに必要な素質は。
「第1にきちんとしたビジョンを持てる人。夢を語るだけでなく、実現するためのマイルストーンまで考えられることです。2つ目は自分なりの価値判断があり、適切に決定を下せるかどうか。3つ目は顧客はもちろん、社員も大事にできることです。リーダー1人でできることは限られていますから」
「そして4つ目は前向きに考えられること。頭が良くてもリーダーに向かないタイプの典型は、問題指摘優先型です。批判は上手だけど、ゼロから新しいアイデアを考えて計画することは苦手という人は適任ではありません」
――これまで出会ったなかで「真のリーダー」と感じた人はいますか。
「女性役員を集めた米国での講演会で、英国のサッチャー元首相にお会いしたことがあります。近くで話しているときは優しいおばあちゃんという印象だったのですが、一度舞台に上がり、英国の政治や産業に自分がどう取り組んできたかを話し出すと、強烈なエネルギーを感じました。『鉄の女』と呼ばれるだけあって、自分の信念を確立している方なのだと感じました」
(砂山絵理子)
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週末はガーデニング
週末は蓼科高原の山小屋でガーデニングを楽しむ。15メートルほどのデッキに色とりどりのつるバラを育てる。春には水仙、ヒヤシンス、チューリップも花が咲く。
登山も長らく趣味だった。槍ヶ岳・剣岳など北アルプスを中心に、日本百名山のうち77の山に上った。「登山は仕事と似ています。苦しくても一歩出せば一歩先に進んで、いつか頂上にたどり着く」。登り始めは仕事や人間関係の悩みなどを考えていても、だんだん頭を空っぽにできることも魅力だという。
リーダーを目指すあなたへ
リーダーとして最も大切なことを一言で表すと「メンタルに強く、人にやさしい」ことにつきます。実現したい思いやなぜそう考えたのかという筋道が明確になっていることが自分を支えてくれます。