変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

人の配置、公正さ重視

――新産業の育成で足りないものは何ですか。

「ベンチャー企業支援が必要との方向性は出てきました。不足しているのは事業再編策です。日本の経営者は欧米と違い、利益が出ていても将来性が無いので売却するとか、競争力向上のために他社と組むなどの発想をしづらい。多くの経営者と話しましたが『まだ再編はいい』と話す方が実に多い。ただ円安が進んだことで他社と協業する動きは少し出てきています」

――JICが最近力を入れていることは何ですか。

「投資先の民間ファンドのマネジャーの育成に力を入れています。彼らが育つことで日本のファンド業界のレベルが上がる。そうすれば、海外の機関投資家のお金が日本の投資ファンドに入ってきます。人材のエコシステム化ですね。投資ファンドマネジャーが育たないからユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)が少ないのです」

「もう一つは『ゴー・グローバル』。米国のトップベンチャーキャピタル(VC)への出資をきっかけに、日本のスタートアップやVCとの連携、スタートアップエコシステムへの参画を促進していきます。米中関係の悪化から、米VCが中国から日本に目線を振り替えている今が好機です。海外ではJICは政府系ファンドに見えるため、一緒にやろうというところが少なくないです。官民ファンドならではの工夫をしたいです」

(フィンテックエディター 関口慶太)

◇  ◇  ◇

日本の切手全て集める

小学3年生の時から続けている趣味がある。切手収集だ。1871年に日本で初めて発行された切手「竜文(りゅうもん)切手」をはじめ、日本で発行済みの切手を全て保有する。コレクションの切手シートのファイルは300冊を超える。

1人で切手を眺めていると、八幡製鉄所勤務だった父親の海外出張の土産や、母親と郵便局に並んだ記憶など両親を思い出す。今は世界各国で初めて発行された切手を探し出すことを楽しみにしている。

よこお・けいすけ 1951年大分県生まれ。慶大商卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。資本市場やシステムの担当を歴任し、新光証券の発足に尽力した。07年みずほ証券社長に就任。新光証券との合併後の09年みずほ証券社長、11年会長。15年からは経済同友会の副代表幹事・専務理事として政財界の調整役として奔走した。前経営陣が退陣となり、空席となっていた産業革新投資機構(JIC)CEOに19年に就き、立て直し役を任される。好きな言葉は「情熱と志」。

リーダーを目指すあなたへ


「リーダーになりたい」という情熱と強い意志を持ち、「会社をこうしたい」「あの仕事をああしたい」と将来のビジョンが語れる人になること。自然に人はついてきます。明るさを忘れず、勇気をもって、進むのです。
[日本経済新聞夕刊 2022年12月22日付]

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック