変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

未踏への挑戦が知恵生む

――中学や高校を卒業したばかりの若い人材が鵤工舎に入社します。どのようにして「育つ環境」をつくっていますか。

勉強と遊びを兼ねた工舎旅行なども実施している(中央が小川さん、屋久島で)

勉強と遊びを兼ねた工舎旅行なども実施している(中央が小川さん、屋久島で)

「やったことがないことにどう立ち向かうか、その瞬間が重要です。初めて経験することばかりの最初の1年間が大事です。日々新しい仕事があり、弟子たちはそれを一つ一つやってみて覚えていきます。そして時間があったら大工道具の刃物研ぎをさせる。ただ刃物研ぎは簡単ではなく、なかなか切れるようには研げません。若い弟子たちは先輩に聞いたり、様子をみたりします」

「作業させて『そこは違うぞ』と教えることはできますが、やる前に言うことはできません。言われたとき、素直に話を聞くかはすぐにわかります。分かったふりをするようでは、そのうち成長できなくなるでしょう。未経験の事柄に出合ったときに自分で考えず、手抜きをするようなことを覚えてしまうと先はありません」

――知識ではなく、知恵を磨くことを大事にされています。

「弟子を育てるということは、機械ではなく手道具で応用ができる人を育てることです。機械に頼っても構いませんが、機械ばかりになるのはだめです。それでは利益を追求するだけの会社になってしまいます。飛鳥時代の人は、かんなもないなか、巨木を運び、丸太をたたき割って法隆寺を造りました」

「未踏に挑むからこそ、そこに知恵が生まれます。力のある人は力で物を動かそうとするので、力以上の物を動かすことはできません。力のない人はそこで知恵を働かせ、工夫をするから力以上のものを動かすことができるようになります。私はそのことの方が大切だと思います。飛鳥時代には材木を山から切り出して、現場まで運ぶだけでも大変なことで、多くの知恵を働かせなければできませんでした」

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