コロナが変えた小売り事情 志やストーリーが評価軸に
ニッキィの大疑問名瀬さん「従来の小売業や飲食業の生き残りの条件は」
「世界観」だと思います。私たちはコロナ禍でいろいろなことを考えるようになりました。消費についても「この商品を買う意味は何なのか」「持続的な取り組みで作られているのか」などと考えます。そうした生活者の意識の変化に対応し、購入すること、使うことに意義のある世界観が明確に分かる商品やサービスが求められています。
「これ『で』いいや」で買うのではなく、「これ『が』いい」と自分が納得して買うスタイルです。「で」と「が」では大違いですね。
日比くん「リベンジ消費は起きているのでしょうか」
コロナが収束すれば、消費活動を控えていた消費者が支出を増やすといわれていました。しかし、小売りやサービス企業の経営者に取材すると「コロナ禍前には戻らない」との見方が大勢です。野村総合研究所の生活者へのアンケートでは、21年7月には「コロナ禍前の生活に戻る」と回答したのは全体の25%でしたが、同12月には19%です。コロナ禍で雇用環境などの変化もあり、日常の生活スタイルについても修正を余儀なくされているのかもしれません。

ちょっとウンチク
革新的な企業登場に期待
米国では経済社会が激変する時期に、新たな消費者向け企業が誕生する傾向がある。例えば2008年のリーマン・ショック。金融ビジネスに見切りをつけた優秀な人材が、ウーバーテクノロジーズやエアビーアンドビーなどの起業したてのシェアリングエコノミーの躍進を支えた。
米ウォルマートの創業は今から60年前の1962年。このとき、米ソ間の緊張が高まり、社会は混とんとしていた。経済活動は停滞し、消費者は低価格商品を求めていた。
コロナ禍の今、新しい生活様式を支える革新的な企業が現れても不思議ではない。
(編集委員 田中陽)
ニッキィとは
日本経済新聞を日ごろからよく読んでいる女性読者の愛称として「ニッキィ」が生まれましたが、新たに2代目のニッキィとして人工知能(AI)を活用したバーチャルなキャラクターが誕生しました。日本経済新聞社の研究開発組織、日経イノベーション・ラボがスタートアップ企業のデータグリッド(京都市)の協力を得て、日経の若手社員の顔写真をAIに学習させ作成しました。
「なぜこんなことが起きているの」といった疑問、好奇心をもとに、2人がベテラン記者に質問していきます。