変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

個を磨くアスリートに

「後になって分かったのですが、各国の販売代理店からブランド統合への抗議の手紙が両社長のもとに山ほど届いていたそうです。でも彼らは全て机の引き出しにしまったまま、私には一度も見せることはありませんでした」

「一度やろうと決めたことなので前だけを見て、迷ったり疑ったりなど後ろは振り返らない。リーダーとはそういうものなのだと教えられました。リーダーが持つべき胆力だと思います。大きな変化を乗り越えてきたDNAを会社の原動力として伝えていきたいと考えています」

――リーダーの条件としては何が必要でしょうか。社内ではどんなメッセージを伝えていますか。

「『知行合一(ちこうごういつ)』という言葉を大事にしています。知識を持っているだけではなく、実際に決断して行動しないと周りの人から信頼されません。もう一つ重要なのは、会社の名刺を頼りするのではなく自分の名前で勝負するような知的腕力やタフネスさです」

「社内で一貫して『ビジネスアスリートたれ』ということを言ってきました。目指すものはそれぞれ違っていいのですが、アスリートのように世界で高みを目指して日々鍛錬し、個を磨くことが重要です。日本人はハングリー精神がだんだん失われてきているように感じます。自分が何をやりたいのか、何をやるべきなのかということを問いかけ続けることが大事です」

(為広剛)

◇  ◇  ◇

ジョギングで頭を整理

米国駐在時代に現地の経営層に「体力と知的腕力で負けるわけにはいかない」と始めた早朝のジョギングが習慣に。ジョギング後のシャワーで「いろんな悩み事がすっとまとまり、答えに結びつく瞬間がある」。周囲の音や路面の様子、空気など五感を研ぎ澄ましながら走るのがポイントだという。50代からフルマラソンにも挑戦している。完走というゴールに向けて目の前の風景に集中するバックキャスティングの考え方は経営にもつながっているという。

やまな・しょうえい 1954年兵庫県生まれ。77年早稲田大学商学部卒、ミノルタカメラ入社。2002年執行役員。06年コニカミノルタホールディングス(現コニカミノルタ)取締役、14年コニカミノルタ社長。22年4月から現職。

リーダーを目指すあなたへ


リーダーの成功体験やリーダー像をまねようとするのではなく、結局最後は「自分はこうありたい」ということに尽きます。自分なりのリーダー像を求めたらいいんです。私もこれまでそうしてきました。
[日本経済新聞夕刊 2022年8月25日付]

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