経営とサッカー変わらない Jリーグ野々村チェアマン
Jリーグ 野々村芳和チェアマン(下)
私のリーダー論ウィズ・コロナを模索
「クラブの強化責任者であるゼネラルマネジャー(GM)もプロフェッショナルな人材がもっと増えてほしい。カネ(強化費)を渡せば、チームを勝たせたり、面白くしたりできるGMをこの10年でどれくらい出せるか。もし5人くらい出てきたら、Jリーグはすごく面白くなる」
「クラブは優秀なGMと契約して長期的なプランに沿って仕事をさせる。成果が出れば報酬に跳ね返り、ダメなら解雇される。競争の世界だから優秀なGMは厚遇で引き抜かれてもおかしくない。そういう魅力のある世界だと分かれば、若く優秀な人材が集まってくる。クラブの社長やGMのポジションが、もっとプロの世界になっていくことは日本サッカーを伸ばす上でかなり重要かと思う」
――欧米のプロスポーツは大勢のお客さんが戻ってきた。日本はまだコロナ前の熱気を取り戻せていない。
「スポーツに関して、欧米はもうウィズ・コロナのフェーズに入った。日本はそこがまだ……。サッカー周辺、Jリーグ、Jクラブの周りは世を覆う暗い空気をプラスマイナスゼロにするような明るい話題を提供しなければならないと思っているのだが」
「僕のJリーグでの仕事はグループでどう勝つかなので、自分にできないことをやってくれる人がいて、その人が自分と同じ方向に向いてくれる仲間なら、どんな困難も絶対に乗り越えて、うまくやっていけると信じている」
(編集委員 武智幸徳)
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楽しみは試合観戦
チェアマンになってから席の温まる暇もない毎日を過ごしている。会議、記者会見、メディア出演、全国58のJクラブへのあいさつ回りと東奔西走。ほぼ休みはない。つかの間の楽しみはJリーグの観戦。「マネーボール」という映画でブラッド・ピットふんする米大リーグの敏腕GMが試合が始まると観戦を避ける姿が描かれたが、札幌の社長時代は「自分も同じだった」。チェアマンという中立の立場になり、心置きなく試合を楽しめるようになった。
リーダーには目指してなる人、推されてなる人、いろいろあると思うけれど、自分がどういう人間か分析することは大事かな。それによってセルフプロデュースの仕方も周りに必要な人間も変わってくると思うので。